専門職コースの活用法

オフィスの丸テーブルでノートパソコンを広げる水色のストライプシャツの女性。カフェラテのマグカップに手を伸ばす。

「プロフェッショナルな人材を一人でも多く育てたい」

 

顧客の課題が複雑で高度になっているので、企業にはそれらの要望に的確に応えることが、今までよりも求められています。

 

課題解決の質とスピードを上げるべく、冒頭のように考えられるケースも多いようです。そこで、社内でのキャリアのひとつに「専門職」を設けることもひとつの方法です。

 

とはいえ、次のような理由から専門職を設置すると、プロをめざす社員を育てる仕組みづくりとは程遠くなってしまいます。

  • 管理職ポストが不足しているから
  • 管理職にするには実績やリーダーシップに欠けるが、昇進させないとモチベーションが下がるから

今回は、社員のやる気を引き出し、会社の業績を伸ばす専門職コースの活用法について詳しく確認していきたいと思います。

なぜ名ばかり専門職になるのか

ノートパソコン、グラフの資料、ノート、サインペン、眼鏡、拡大鏡が広げられたデスク。

かつて正社員は、「なんでもかんでもやる」「なんでも程々にできる」人、というゼネラリスト志向として捉えられていました。そのため、専門職に対する誤解もあるかもしれません。

 

特定の職務に特化しないで、企業の状況に合わせてなんでもやってもらえるほうが、経済の成長期においては企業にとってメリットが多かったからです。

 

よって管理職のポストに就けないとなると、「名ばかり専門職」として処遇することになってしまいがちです。

 

ですが今や、あらゆる分野での技術レベルが上がり、顧客が求めるサービスもハイレベルになっています。「なんでも程々にできる」レベルでは、競争に打ち勝ち、市場で評価されて生き残ることは難しくなってきています。

 これからあるべきゼネラリストとは、特定の専門性を持ちながら、それを超えた幅広い分野で対応できる見識を持った人のことといえるでしょう。

では専門職は本来どうあるべきなのでしょうか。企業が定める目的により、専門職のあり方は大きく分けて2パターンあります。

人材育成を目的とした専門職のあり方

数冊の本を抱える女性。

ひとつ目は、人材育成を目的として専門職を設置するパターンです。

 

人材を育てるには、リーダーシップと専門性を継続的に高める必要がある、という考え方によります。

 

仕事でチャレンジし続ければ、成長し、自信もつきます。するとさらに能力を伸ばせるような良い仕事が回ってきて、経験を深め成長を加速させる…というサイクルになるからです。

 

具体的な制度としては、すべての社員にプロフェッショナルになることを成長目標として求めます。どの分野のプロになるかは、その企業の経営戦略によって選択肢に限りはありますが、社員にとってもキャリアパスがわかりやすいでしょう。

 

特定の分野で知識・技術レベルとも専門性を深く追求することで、経験による仕事への信念(職業観や職業倫理といったもの)が形成されます。

なおプロとして活躍するには、標準的に10年を必要とします(プロ水準へ到達する年数を決めている企業もあります)。

 

そこでプロフェッショナルと呼ばれるにふさわしい力量を持った人の中から、組織長のようなマネジメント業務に就く人と、プロ中のプロと言うべき、トッププロに就く人に分かれることになります。

環境変化への対応を目的とした専門職のあり方

グリーンの鉢植えとノートパソコンがテーブルのうえに並んでいる。

ふたつ目は、事業環境の変化への対応を目的としています

 

たとえば自社製品のウリは品質の良さと仮定します。

厳しい市場での競争優位性の確立を考えた場合、他社に追随して安易にコストダウンを図るより、地道な作業レベルを維持・向上させるほうが顧客の理解を得ることができるかもしれません。

 

高品質の作業を地道に続けていくには、熟練技術者のモチベーションとスキルの維持・向上が必要です。そこで、職人のようにその道のプロフェッショナルとして、自分の持てるスキルを高次元レベルまで伸ばしてもらえるような人事コースを考えることになります。

 

けれど、地道な技術の研鑽を求めたいものの、ビジネスリーダーが事業の変革を図ったときと比べて、なんとなく付加価値やインパクトが低いように感じることもあるかもしれません。

そんなとき、専門的な技術や理論を完全にマスターした熟練技術者を、マイスターと称える「マイスター制度」を設けるのもひとつです。

 

熟練技能者はたとえ高い技術を持っていても、本人にとっては「当たり前のこと」としてその価値に気付かないケースもよく見受けられます。そこで、彼らが社内でリスペクトされることで、本人もプロフェッショナルとしてのプライドを持つきっかけになるでしょう。

 

 

その結果、彼らのモチベーションをさらに引き出し、事業環境の変化への対応策である「品質向上」をめざすことができます。さらに社内の処遇としては、たとえば、高度熟練者に「マイスターとしての手当」を支給するのも方法のひとつです。

 

 

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これからの時代、企業の競争力を高めるには、社員それぞれの個性や強み、得意分野、専門性を尊重することがとても大切です。

 

お互いの専門性を活かし合える、人材を活用できる仕組みづくりを考えていきたいですね。

ピンクのバラでまとめられたブーケ。ピンク色のリボン。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。談笑するビジネススーツ姿の男女。

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