
求人募集の応募者が、履歴書の「本人希望記入欄」にシングルマザーである旨を書いてきた。お子さんが急に熱を出したとき、面倒をみてくれる人は身近にいるのかな。お子さんが小さいならなおさら心配だ。とはいえ、採用面接で家族のことについて聞いちゃダメだよね、どうすればいいの?
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採用基準に該当しそうな人材からの応募に喜ぶ人事担当者ですが、面接で確認したいけれど「聞けない」状況に直面し、頭を悩ませています。
採用時の面接において家族のことを聞く行為自体が、厚生労働省による採用差別禁止の行政指導の対象とされているからです。
そこで今回は、採用面接でのシングルマザーへの確認事項で会社が注意すべき点について、詳しく確認していきたいと思います。
企業の採用活動

民間の企業が社員を採用するとき、どんな働き手を採用してもまったくの自由です。
男女雇用機会均等法では「会社は社員の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない」との旨が定められていますが、これはあくまで採用の機会の均等を目的としています。女性の採用が強制されているわけではなく、適材適所をめざした採用の自由は制限されません。
このように企業の採用活動に広い裁量が与えられているとはいえ、無制限に採用の自由が認められているわけではありません。
最近では、採用差別禁止の行政指導が積極的に行われており、応募者の適性・能力とは関係のない事項で採否を決定しない採用手続きの確立が求められています。さらに、少子高齢化による働き手の減少を背景に、多様な採用が推進されています。
まとめると、採用は誰を採用しようがしまいが原則として自由とはいえ、「女性なので不採用」「高齢者だから不採用」という単に性別や年齢による不採用は問題となります。さらに若年者についての雇用機会の確保、障がい者の雇用促進などが求められ、法制化されています。
場合によれば不当差別として採用拒否が違法性を持つこともあり、損害賠償の問題に発展することも考えられ、注意を払う必要があります。
「聞けないこと」を面接でどう確認する?

シングルマザーで小さなお子さんを抱えていると、急な発熱等で会社を突然休んだりすることも想定されます。病児保育サービスを利用できなかったり、両親が近くに住んでいない場合には、このような状況が頻発することになります。
そんなときも難なく乗り越えるため、職場の仕事をチームみんなで把握して、お休みや時短のメンバーがいても、残りのメンバーで主体的に仕事をこなそうとするチームづくりはもちろん必要です。
とはいえ会社としては要員管理のため、そもそも超過勤務・休日出勤のシフトを組めるのか、緊急対応はできるのか、転勤はできるのか、配属先について配慮が必要なのか等を採用面接で把握しておく必要があります。
「お子さんが急に熱を出したときなど、面倒をみてくれるご家族は近くにいらっしゃいますか?」と採用面接で質問したいところですが、本人の適性と能力に関係がない事項(家族に関することもそのひとつ)を面接で把握することは、就職差別につながるおそれがあるということで、厚生労働省が「採用選考時に配慮すべき事項」としています。
そのため、直接的な確認を避け「お子さんの急な発熱などにはどのように対応されますか」といった質問で、対応策を事前に把握しておかなければなりません。
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採用面接での「直接的ではない質問例」に下記のような内容が考えられます。
【超過勤務・休日出勤について】
・当社では早朝出勤、深夜までの残業、休日出勤をお願いする場合がありますが、対応できますか?(朝は〇時から、夜は〇時までの勤務が可能ですか?)
【緊急対応について】
・当番制によるオンコール対応(○分以内の出勤)はできますか?
【配属先について】
・複数の営業所が配属先の候補となりますが、どこでも勤務は可能ですか?配属先で配慮して欲しいことがあれば、その理由とともに教えてください
【転勤について】
・転勤の対応は可能ですか?転勤にあたって配慮すべきことはありますか?


■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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