フリーランスを直接雇用にすると年休付与はどうなる?

ページがめくられた本。ケーキが盛り付けられたガラスのお皿。コーヒーの入ったカップ&ソーサ。

フリーランスとして来てもらっているAさん、来月からうちでの直接雇用に切り替えて働いてもらうことになった。・・・そういえば年休はどうなるんだろう?

 

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フリーランスとして業務を行う人(業務委託契約)を自社で直接雇用するにあたって、本人の直属の上司から相談を受けた人事担当者ですが、初めてのケースで返答に困っています。

 

というのも会社に入社した後、最初に年次有給休暇の権利が発生するのは、入社日から6か月間継続して勤務した場合ですが、この「勤続6か月」とはどの時点から起算すればいいのか、フリーランスで来てもらった時からなの・・・?とギモンに思ったからです。

 

そこで今回は、フリーランスを自社の直接雇用にシフトした場合の年休付与について、詳しく確認していきたいと思います。

フリーランスと会社の関係

ページがめくられた本の上に置かれた眼鏡。コーヒーの入ったマグカップ。

一人親方が専門的知識、経験、能力を活かしたプロフェッショナルとして、発注者(受け入れ側の会社)から指揮命令を受けないで独立自営業者という立場で、発注者より注文や委託を受けて自己の責任で業務を遂行する(いわゆるフリーランス)場合があります。

 

そのようなケースでは、フリーランスと受け入れ側の会社との関係は「請負契約」または「業務委託契約」となり、雇用関係はありません

 

そのため、フリーランス(一人親方である個人事業主)が受け入れ側の会社で指揮命令を受けて労働することになると、それはフリーランスと受け入れ側の会社との間に労働契約が締結されたことになり、受け入れ側の会社が直接雇用する労働者となることを意味します。

 

なお、「フリーランス」とは法令上の用語ではなく、一般的に定義は様々です。厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」においては、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義づけています。

実務的に年休付与はどうなる?

観葉植物の鉢植の隣にページがめくられた本。ナッツとチョコチップのクッキーが盛り付けられたお皿。

「請負契約」や「業務委託契約」が終了したあとに、それまでフリーランスとして働いてきた人を雇用することについて、労基法では問題となる点はありません。(むしろ、厚生労働省は「フリーランスであっても、働き方によっては労基法上の『労働者』に該当する可能性がある」と注意喚起しています。)

 

フリーランスとして働いてきた人を雇用した場合には、その時点から年休付与に必要となる継続勤務の期間をカウントすることになります。

 

つまり、「請負契約」や「業務委託契約」における契約期間の初日を起算日とするのではなく、労働契約によって「自社の社員として入社した日」を基準とすることになります。

 

ただし、労基法が定めるのは最低基準ですから、会社が独自に法定を上回る年休を付与することに何らの制約もありません。たとえば、フリーランスとして働いていた期間を自社での継続勤務期間に含めたり、法定日数を上回る年休を付与することを就業規則に規定しても問題ありません。

 

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労基法における「労働者」は、労働時間や賃金などに関するルールが適用され、労働関係法令による保護の対象となります。

 

労基法の「労働者」に該当するかどうか(「労働者性」といいます)は、下記の2つの基準(「使用従属性」といいます)で判断されることになりますので、ご参考までに^^

  • 労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか、すなわち、他人に従属して労務を提供しているかどうか
  • 報酬が、「指揮監督下における労働」の対価として支払われているかどうか
チーズバーガー、フライドポテト、ケチャップがトレイに並んでいる。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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