「育児中の社員には転勤への配慮が必要らしい。転勤させるのはダメなの?転勤の多いウチの部署には若手が多いから大変だ・・・( ゚Д゚)」
子育て社員には、会社として育児休業制度や母性保護への配慮はもちろん必要です。ですが転勤の問題は性別を問わずに発生することなので、会社組織に属する一員として、基本的に社員には転勤に応じるスタンスが求められることになります。
では、育児・介護休業法によって会社に求められる「社員の配置(転勤)に関する配慮」とはどのようなことをいうのでしょうか。
(育児・介護休業法に規定されているため、対象は子育て&家族の介護を行っている社員です)
そこで今回は、子育てや家族の介護をしている社員に対する転勤への配慮について詳しく確認していきたいと思います。
育児・介護中の社員に対する転勤への配慮とは
育児・介護休業法では、会社に育児・介護中の社員に対する転勤への配慮が規定されています。
つまり、「会社は社員の配置転換について、就業場所の変更を伴うもの(転勤)を行う場合、その就業場所の変更によって働きながら子の養育または家族の介護を行うことが困難となる社員がいるときは、その社員の子の養育または家族の介護の状況に配慮しなければならない」との旨が定められています。
子育てや家族の介護を行っている社員にとって、住居の移転などを伴う転勤が仕事の継続を困難にしたり、仕事と家庭との両立において著しい負担を強いる場合があります。
そのため、就業場所の変更により働きながら子育てや家族の介護を行うことが難しくなる社員がいるときには、その社員の子育てや介護の状況について配慮することを法律で会社側に義務付けています。
ここで子育ての対象となる「子」については、育児・介護休業法において「小学校就学の始期に達するまで」といった限定がつけられていないので、小学生や中学生の子も含まれるのは当然のこととして考えられています。
会社は具体的にどうすればいいの?
「就業場所の変更によって働きながら子の養育または家族の介護を行うことが困難となる」とはどういった状況のことをいうのでしょうか。
具体的には、下記のような諸般の事情を総合的に勘案して個別的に判断しなければなりません。
- 配置の変更後の通勤の負担
- その社員の配偶者をはじめとする家族の状況
- 配置の変更後の就業場所近辺における育児サービスの状況
↑上記のような状況から、会社はどのような「配慮」を行えばよいのでしょうか。具体的には下記のような内容として考えられています。
- 対象となる社員の子育てや家族の介護の状況を把握すること
- 対象となる社員本人の意向に寄り添って考えること
- 人事異動で就業場所が変更となった場合、子育てや家族の介護に代替手段があるのかどうかを確認すること
つまり「配慮」とは、人事異動で就業場所の変更を伴う社員について、子育てや家族の介護が困難にならないよう気にかけることをいいます。配置の変更をしないといった人事異動そのもの結果や、社員の育児や介護の負担を軽減するための積極的な措置を講じることを会社側に求めるものではないとされています。
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世の中的に人材の獲得が難しいなか、働く意思がある社員を育児や介護で離職させないことは大切です。
スキルや知識を蓄積した人材をあっさり手放して、新しい人をイチから教育するほうが会社にとって負担が大きいのではないでしょうか。
社員のキャリアが継続できるように、かつ事業運営に与える影響が少なくなるように、適切な仕事分担や人員配置を考えたいですね。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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