「定年退職、自己都合退職、懲戒解雇、整理解雇・・・どれも会社を辞めることには変わりないのに、こんなに種類があるの?そもそも退職と解雇は法律的にどう違うっていうの?」
人事部に異動してきたBさん、先輩からのススメで自社の就業規則を読み込もうとするものの、退職をめぐる用語の多さに頭がグルグル・・・\(◎o◎)/!
社員が会社を辞めるとき、それが「退職」にあたるか「解雇」にあたるかは、法律上大きな違いがあるため、会社のとる対応にはえらく差が生じます。
特に解雇の場合は、いろいろな法的な制限があるので注意する必要があります。
そこで今回は、退職と解雇はどう違うのか、またそれぞれどんな種類があるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
退職と解雇はどう違ってどんな種類があるの?
退職と解雇のどちらも、社員が会社を辞めるという「労働契約の終了」のことです。
ただし、「解雇」とは、会社側から行う労働契約の一方的な解除のことをいい、「退職」とは、それ以外の労働契約の終了のことをいいます。
どちらに該当するかによって法的な規制が違うため、「一体どちらにあたるの?」という問題が生じるケースもあります。
そこで、労働契約の終了に至った事由の種類から、退職と解雇についてそれぞれ確認してみましょう。
【退職になる場合】
- 任意退職(自己都合退職。会社と本人の合意による労働契約の解除)
- 無断退職(社員から行う労働契約の一方的な解除)
- 契約期間満了(労働契約終了の期限の到来)
- 休職期間満了による自動退職(解雇・退職の猶予期間が経過したことによる期間満了、終期の到来による労働契約の終了)
- 行方不明の期間経過による自動退職(解雇・退職の猶予期間が経過したことによる期間満了、終期の到来による労働契約の終了)
- 定年退職(終期の到来による労働契約の終了)
- 本人の死亡(法定終了)
【解雇になる場合】
- 普通解雇(やむを得ない事由の発生による会社側から行う労働契約の解除)
- 懲戒解雇(懲戒処分としての労働契約の解除)
- 諭旨解雇(ゆしかいこ。懲戒解雇相当の事由がある場合で、本人に反省が認められるときは退職するよう勧告する。諭旨退職とも。)
- 整理解雇(やむを得ない人員整理の必要性に基づく労働契約の解除)
- 有期労働契約の更新拒否(事実上期間の定めのない契約への移行の場合と次期更新の期待の場合の雇止め)
- 本採用拒否(試用期間中の労働契約〈社員として不適格とジャッジしたときは解約できる権利が留保されている労働契約〉における留保解約権の行使)
- 採用内定の取消し(卒業前の学生の場合に対する「始期付きの解約権を留保した労働契約」〈入社するまでの間に、採用内定通知書等に定めた採用内定取消事由が生じた場合や学校を卒業できなかった場合には、労働契約を解約できる旨の合意を含んだ労働契約〉の解除)
- 休職期間満了による解雇(就業規則に規定のやむを得ない欠勤事由の発生による労働契約の解除)
- 定年解雇(定年到来を原因とする労働契約の解除)
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退職にまつわる社内制度として、年齢などで一律に役職者を解職する「役職定年制度」、「転職や独立開業を支援する制度」、「定年後の再就職を支援する制度」といったものがあります。社員のセカンドキャリア(一般的にはシニア社員向け)を管理し、サポートするためです。
セカンドキャリアの支援制度のなかには、特別休暇の付与というものもあります。セカンドキャリアに必要なスキル、知識を習得するための休暇ということです。
マンパワーの問題で中小企業では長期間の休暇を与えることは難しいかもしれませんが、制度設計のご参考までに(^^)/
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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