パート社員の期間満了前に解雇予告は必要ですか

ドライフルーツが添えられたチーズケーキとコーヒーをおともに読書する女性。白シャツ姿。

今は忙しいので期間限定で入ってもらっているパートさん。その期間が終わる前に解雇予告をしないとダメなのかな。更新があるかも、って期待していたら申し訳ないし・・・(小売店 店長談)

 

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解雇予告をしておかないと誤解が生まれてトラブルになるのでは?」と心配な店長さんです。

 

パート社員など期間限定の働き手の場合、期間満了で雇用が終了することになります。雇用期間が満了すれば自動的に退職となるものであって、「解雇」にはあたりません

 

そのため、期間満了の場合は労基法20条(解雇の予告)の問題は発生しないといえますが、期間雇用の契約を反復更新されていると働き手には継続雇用の期待が高まるというもの。

そこで今回は、パート社員の期間満了(更新された場合も含む)にあたって、解雇予告が必要かどうか、詳しく確認していきたいと思います。

解雇予告の問題

デスクの上のノートパソコンとゴールドのデスクライト。

冒頭でお伝えしたように、パート社員をはじめとする期間雇用者の場合は、雇用期間が満了すると自動的に退職となるものであって、「解雇」には該当しないので、労基法20条(解雇の予告)の問題は発生しないといえます。

 

とはいえ、期間雇用契約を反復更新している場合には、仕事内容や更新の実情によって、だんだんその有期的性格が失われます。言い換えると、働き手に「次の契約更新もあるかも」といった期待を抱かせたり、事実上期間の定めのない契約と同視される可能性もあります

 

そのため、労働契約法では期間満了による「雇止め」についての規制が定められています。「雇止め」は労基法20条の「解雇」とは別の制度ですから、期間満了時において解雇予告の適用はないと解釈されています。

 

なお、ここでいう「雇止め」とは、更新してきた有期契約の次期の更新について、「更新しない」旨の意思表示をして、期間満了により労働契約を終了させる法律行為をいいます。

(継続更新の期待がある労働契約を会社側の一方的な意思で終了させる行為のため、前述のように労契法で「雇止め」についての規制が定められています。)

実務的にはどうするか

本の上に置かれたオレンジ、レモン、アメリカンチェリー。

実務上は、期間雇用契約を反復更新してきたパート社員を更新拒否するときは、よもやのトラブルを防止することがポイントとなります。

 

具体的には、直前の契約更新に際して、「これが最終の更新であって再更新はしません」という旨を明白にして、期間満了時時には雇用契約が終了するという合意のうえで更新することが必要です。

 

これによって、この契約期間の満了で再度の更新はしないで雇用契約を終了させることは、「期間満了による自動退職」に該当します。解雇にはならないので、解雇予告の問題は生じません。

 

パート社員のほうで「これが最終の更新であって再更新はしません」という特約に応じなかったとしても、会社側が更新にあたり「再更新はしません」との旨を本人に通告していれば、通算して継続5年超にいたる場合でなければ、期間満了による雇用終了の予告となります。少なくともその期間が1か月以上あればよいでしょう。

 

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今では正社員だけでなく、パート社員などのnot正社員の活用のあり方が、企業の競争力を左右する時代です。パート社員の基幹労働力化に取り組む企業があるのも、その流れからです。

 

契約期間の問題でトラブル発生など、マイナスの影響をもたらすことのないよう人材活用のあり方を真摯に考えていきたいですね。

コーヒーの入った青の花柄のカップ&ソーサー。3つ並んだエッグタルトのお皿。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
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