「出張期間中に休日があった場合、どう取り扱えばいいのかな?」
今年のカレンダーの並びをみると、ゴールデンウィークは最大で10連休にもなるようです。長い休みの合間に商談などのため出張に出かける場合もあるかもしれません。
勤怠の処理に頭を悩ませる、経営者や管理職の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
たとえば、出張期間の中日に日曜日があるような場合は休ませないといけないのか(それなら出張に来た意味なくない?)、ただでさえ出張スケジュールをたてるのは大変なのに、頭がぐるぐるします・・・といった声もお聞きします。
そこで今回は、出張期間中であっても休日には社員を休ませないといけないのか、その取扱いについて詳しく確認していきたいと思います。
出張期間中の休日
たとえ出張期間中であっても、会社の指揮命令下にあって仕事をしている期間であることにはかわりありません。働く場所が普段とは違うだけですよね。
そのため、通常のオフィスにて勤務している場合と同じように、毎週少なくとも1回、または4週4日以上の休日を会社として社員に与えなければなりません。
(もし出張期間中に就業規則で定める会社の特別休日があるなら、その特別休日も与えなければなりません。)
したがって、休日を含む期間について出張命令を出す場合には、普段のオフィス内の場合と同じように、出張先において休日を付与できるように出張スケジュールをたてる必要があります。
実務上どうなる?
「せっかく出張に行っても、休日だから休ませないといけないなら、出張に行く意味がないよ!!」
前段をお読みになって、このように思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。タイトスケジュールでいろいろな用事を済ませないといけない場合も多いでしょうから、確かにその通りだと思います。
そこで、出張期間中の休日に出張先で仕事を命じたり、具体的な業務を行うようなスケジュールを会社が承認したりすると、それは休日労働を命じたことになります。
出張中の休日に業務を行う場合には、それが法定休日の場合には休日労働に関する36協定の内容に従い、休日労働に関する36協定がないのであれば、あらかじめ休日の振替措置をとるなどして、適法に業務を遂行できるようにしておかなければダメだということです。
とはいえ、出張期間は会社の拘束時間であっても抽象的なものといえます(出張先まで会社の目は届きませんので)。そのため、出張期間中の休日に特にやらないといけない具体的な業務を命じていなくて、出張先でその日に休息・休養できる場合には、出張期間中であっても「休日」に該当します。
会社が出張期間中の休日に、仕事を命じないようにスケジュールを組んでいる限り、その日は業務を行わないので、これを休日労働として扱う必要はありません。
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出張は、普段の勤務場所とは異なる場所で仕事することになるので、会社としていろいろと取扱いに迷うことも多いのではないでしょうか。
また社員にしても、出張に慣れていないと「こんなときはどうなりますか?」といっぱい質問したくなるのもわかりますよね。
その場しのぎで取り繕うことのないよう、出張時の労働時間マネジメントについて、もう一度確認の機会をとっていただければと思います。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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