「来年のカレンダーを確認すると、当社の創立記念日と日曜日がかぶっています。こんな場合、どっちの休みになるのでしょうか。祝日のように振替えないとダメでしょうか?」
次年度の年間カレンダー(会社の営業日)を考えるにあたって、このようなご相談をいただくことがあります。
毎週日曜日を労基法上の休日と定めている場合、その日と創立記念日のような特別休日が重複した場合、その日は法定休日になるのか、それとも特別休日なのか、疑問に思われるのは当然のことだと思います。
そこで今回は、特別休暇(創立記念日など)と労基法上の休日が重なった場合、どちらが優先されるのか、詳しく確認していきたいと思います。
創立記念日などの特別休日とは
みなさんの会社では、労基法の定める週休日や国民の祝日以外に、会社が独自に定めた休日があるのではないでしょうか。
たとえば、「年末年始」や「創立記念日」、「その地域のお祭りの日」などです。これらの休日を特別休日と呼び、法定の休日と区別しています。
このように特別休暇は、労基法の基準を超える、会社のオリジナルな休日なので、それぞれの会社において自由にその取扱いを決めることができます。
したがって労基法の定める休日の規定は適用されませんから、休日は暦日制でないといけないといったこともなく(「午前中だけ」など半日でもOK)、法的な振替変更の手続きを踏まなくてもよく、特別な条件付きの休日としても差し支えありません(もちろんその条件付けが不当、不法なものではダメです)。
特別休日の日が出勤日となっても、それが時間外労働にあたらない限り、会社に割増賃金の支払い義務はありません。もちろん、「特別休日に出勤させていいのか?」といった問題も生じません。
労基法上の休日と重なるとどちらが優先されるか
毎週日曜日を労基法上の休日と定めている場合、その日と創立記念日のような特別休日が重複した場合、その日はいったい法定休日なのか、特別休日なのか、どっちになるのでしょうか。
法定休日と特別休日が重複した場合には、公法上、国家に対する義務として「週1回または4週を通じて4日の休日を社員に与えなさい」と会社に命じられている労基法上の休日のほうが強行法規だと考えられます。
このため、労働契約において会社と社員の間で自由に取り決めのできる、会社の設定した特別休日の付与義務より優先されることになります。
そこで特別休日に関して、特別な条件が決められていたり、暦日単位の付与でなかったりしても、法定休日と重なった場合は、当日は特別休日ではなく労基法上の休日となるのですべて無効となります。つまりその日は、暦日単位を原則とする、無条件で労働義務のない法定休日になるということです。
なお、法定休日と特別休日が重複した場合に、別の日に特別休日を繰り延べるかどうかは、その会社が独自に決めることになります。
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会社が特別休日を定めると、それは「休日」にあたりますから(当たり前のようですが)、就業規則の必要記載事項にも該当することになります。
オリジナルの特別休日を新設した場合は、就業規則の変更手続きをとって、所轄労基署長に届け出ることが必要となりますので、どうぞお忘れなく^^
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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