8月に休みを集中させて大型の夏休みをつくれば社員も喜ぶだろう。ただ、今よりも休みを増やすと給料の単価がアップするらしい。なんでそうなるんだろう?(@_@)
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会社休日(労基法を上回って会社で定めている休日)や、国民の休日である祝祭日・・・休みとひとくちにいっても色々あります。ですが、「休日」が増えるとその分労働時間が減るということなので、賃金単価へダイレクトにかかわってきます。
これは、同じ休みといえども休日と休暇の法的な違いによって発生するものです。
そこで今回は、休日と休暇の違いを踏まえ、なぜ休日が増えると賃金単価アップにつながるのか?について詳しく確認していきたいと思います。
休日と休暇は法的にどう違うの?
休日とは、労働契約や就業規則などであらかじめ「労働義務がない日(not労働日)」と定められている日のことをいいます。
お休みという点で、休日と似たものに休暇があります。
休暇とは、労働義務のある労働日に「労働義務の免除」を社員側から申し出る(意思表示する)ことによって得た日のことです。
両者の違いをまとめると、下記のようになります。
労働義務の有無 | 所定労働時間の有無 | 賃金単価 | |
休 日 |
なし →not労働日 |
なし | 休日が増えるとアップする |
休 暇 |
あり(労働義務のある日に義務が免除される) →(もともとは)労働日 |
あり | 休暇が増えてもアップしない(そのまま) |
なぜ賃金単価アップにつながるの?
休日は、前段でお伝えしたように、所定の労働日ではありません。ゆえに所定労働時間がありません。
さらに、法定休日については労働時間を割り振ってはいけない日なので、休日労働の場合には、(本来なら休日を与えないといけないので)ペナルティーとして割増賃金の対象となります。
一方、休暇の日はもともと労働日であるので所定労働時間があります。そのため、休暇となっている日を取り消して働いたとしても、労働日なので所定時間外労働にはあたらず、割増賃金は必要ありません。
つまり、休日の増加は、それだけ労働時間が減少するということですから、労働時間の短縮につながります。
そのため、トータルの賃金額に変更がなければ、必然的に1時間あたりの賃金単価はアップすることになります。
一方の休暇が増えても所定労働時間に変更はないので、1時間あたりの賃金単価は変わりません(アップしない)。
休日と休暇の法的な違いは、賃金単価に重要なインパクトをもたらすことがわかります。
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休日&休暇から話は少し変わりますが、月給の時間単価を計算するとき、端数の扱いに困ることはありませんか?割増賃金の計算などで、端数をまるめるにしても、切り捨ててよいものか?と、モンモンとする・・・
実はこの端数処理、通達によって有効な場合が示されています。
【有効な端数処理(時間単価の1円未満が出たとき)】
→50銭未満切り捨て、50銭以上1円に切り上げ
新年度から休日数や月給額が変更となるケースも多いと思いますが、単価計算は、ついうっかりミスをしがちな箇所でもあります。時間単価に割り戻すときには、ぜひいちど確認してみてくださいね。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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