部下からの年休申請でリーダーがとるべき対応とは

デスクに置かれたクラシカルなタイプライター。水色のダイヤル式のビジネスフォン。

チームメンバーが「休みたい」と言ってきたらどう対応をするといいのかな?自分の対応次第で年休の取りやすさに差が出ると不公平だし、法律的にやったらダメなこととかきちんと押さえておきたい

(エンジニア リーダー職 談)

 

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パワハラ、コンプライアンス・・・みんなが敏感なご時世なので、きちんと法律面の知識を持っておきたいリーダーです。

 

というのも、「こんな忙しいときに年休を取りたいの?!(゚Д゚;)」と納期とマンパワーの間で、(どこまで年休申請を認めないといけないの?)と、顔がひきつることもままあるからです。

 

そこで今回は、メンバー(部下)から年次有給休暇の申請があったとき、リーダー(所属長)をはじめ、その承認の権限をもつ管理職はどう取り扱うべきなのか、詳しく確認していきたいと思います。

 

年休にまつわる法律のハナシ

オフィスのデスクでメモを取りながらノートパソコンに向かう女性。電卓。スマートフォン。マグカップ。

部下、チームメンバーから年次有給休暇の申請があったとき、どう対応してよいのか悩む、とよくお聞きするのは次のようなシチュエーションです。「よくあるシチュエーション(しかも判断に困る)」こそ、まさに法律的に必ず押さえておくべきポイントといえます。

具体的かつ簡潔にチェックしていきましょう。

  • 年休をとる目的を聞いてはいけないのか?(プライベートの侵害になる?)
  • いつでも申請のとおりに年休をとらせないといけない?
  • 「休む3日前までに申請すること」のルールを破って申請があったとき
  • 当日の朝に電話で休みたいと言ってきた
  • 遅刻や早退の穴埋めとして年休をつかってもいいのか?

①年休をとる目的を聞いてはいけないのか?

法定年休については、社員がどのように利用するかは本人の自由です。なぜ年休をとるのか、目的を申請用紙に書かない、言わないからといって、年休を与えないのは法律違反です。

とはいえ、申請用紙に目的を記入する欄があり、「できるだけ書くように」と指導していることは問題なく、プライベートの侵害にはなりません。会社が時季変更権を行使するときには、社員の年休の目的により、その緊急性や必要性の程度を考慮することになるからです。

 

②いつでも申請のとおりに年休をとらせないといけない?

年休の権利は、法定の要件を満たせば当然に生じる権利です。会社には、年休の取得拒否となる時季変更権がありますが、「事業の正当な運営を妨げる」という客観的な理由がある場合でなければなりません。

 

③「休む3日前までに申請すること」のルールを破って申請があったとき

リーダーなど管理職は、業務の都合や他の休暇申請者との調整を行う必要があるので、「なるべくそのようにしてもらいたい」という努力義務的なものであれば、「休む3日前までに申請する」などのルールを設けること自体は問題ありません。ただし、このルールを守らないと一切年休の取得を認めない、という取扱いは法律違反です。

 

④当日の朝に電話で休みたいと言ってきた

年休は、法律上1日(1労働日)単位でとるのが原則です。つまり、午前0時から午後12時までの24時間で、ということです。そのため当日の朝に「今日休みます」と、たとえ始業時刻の前に申出があっても、それはすでに労働日がスタートした後の、事後の休暇申請となります。事前申請ではないので欠勤扱いとなりますが、会社のほうで年休に振り替えることを事後的に認めるのはOKです。ただし、社員が当然の権利として求めることはできません。

 

⑤遅刻や早退の穴埋めとして年休をつかってもいいのか?

法定の年休は、1日を単位としています。時間単位年休制度を導入していない限り、分割することは原則として認められません。「遅刻3回で年休1日消化」などといった扱いはNGです。ただし時間単位年休の場合でも、30分の遅刻に1時間の年休を充当することはできません。

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年休にまつわる法律的なエトセトラ(代表的なものですが)は以上のようになりますが、メンバーの年休取得に際して、リーダーの顔が引きつってしまうは、部署の問題をなるべく自分ひとりで解決しようとしがち、ということもあるのではないでしょうか?頑張り屋さんな方は、無理しがち!です。

 

もしそうだとしたら、チームで情報や問題意識を共有することが大切です。

「この仕事は自分しかできない」といった意識は捨てて、メンバーが自分と同じレベルまで早く追いつけるよう、適宜サポートしながら育てていきたいですね。

いちご、ブルーベリー、ラズベリーがトッピングされた生クリームたっぷりのロールケーキ。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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