最近は日の入り時刻が遅くなり、18時を過ぎてもまだ明るいですね。日(昼)が長くなるにつれて、季節が夏に変わっていくのを感じます。
日といえば、労働時間、休日、年次有給休暇では、同じ「1日」という概念であっても、それぞれ考え方や取扱いが異なることをご存知でしょうか。
もともと勤務シフトに夜間勤務がある場合や、トラブルシューティングのため徹夜勤務が発生した場合など、この「1日」をどう考えるかで社員の働き方が変わってくるのでマネジメント上注意が必要です。
今回は、労基法の「1日」の概念と、労働時間、休日、休暇それぞれの取扱いについてみていきましょう。
労働時間、休日、休暇それぞれの「1日」とは
労基法における「1日」とは、原則として午前0時から午後12時の暦日を指します。
ただし、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日をまたいでいても1勤務として労働時間にカウントされます。
休日(週1日または4週4日の法定休日のこと)は、一貫して暦日制をとっており、午前0時から午後12時までをいいます。
したがって、法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日にまで及んだ場合は、あくまで「休日」における休日労働としてカウントされます。暦日をまたいでも1勤務としては取り扱われません。
まとめると、前日の勤務が休日に及んだ場合には継続一勤務の考え方はとらず午後12時で分断され、それ以降は休日勤務のみが成立します。
年次有給休暇の「1日(1労働日)」は、原則として暦日計算によります。
ただし、24時間勤務して24時間休むなどの一昼夜交替制勤務の場合は、2労働日としてカウントされます。
また、常夜勤務(昼の勤務をそのまま夜にひっくりかえしたような夜間勤務を常態とする。たとえば午後9時から翌日の午前5時を勤務時間とする、など)の場合には、その勤務時間を含む継続24時間、つまり午前12時(正午)から翌日の午前12時(正午)まで、を1日としてカウントされることになります。
就業規則で「1日」をきめることはできるのか
前段を読まれて、「ややこしい!」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
では、この複雑さを簡単にするため、「1日」の取扱いについて就業規則で自社オリジナルの定義を決めることはできるのでしょうか。
たとえば、「当社における1日とは、正午から起算する24時間とする」や、「当社における1日とは午前6時から継続する24時間をいう」などと、いわば「当社独自の一日モデル」を就業規則に規定するのは許されるのか、ということです。
法定労働時間の「1日8時間」は、午前0時から翌日の午後12時までの暦日をいうことが前提となっています。
もし、1日の定義を各企業において自由に決めることができてしまえば、そこで働く社員の生活リズムを狂わすことになりかねません。「A社では〇時から〇時まで、B社では▲時から▲時まで」などとバラバラなのは、現実的ではありません。ひいては、企業社会におけるワークルールに良くない影響を与えることにもなります。とても働きにくい社会になってしまいますよね。
それは、法律による労働時間の規制に反することになりますから、各企業で独自の「1日の取扱い方」を決めることは認められていません。
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以上のように、労基法上同じ「1日」であっても、労働時間、休日、休暇で1日の取扱い方が違うことをみてきました。
規則正しい生活サイクルがあってこそ、ミスなくよい仕事ができるというものですよね。
意外と見落としやすい点ですので、再確認の機会にしていただければと思います。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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