振替休日は社員の指定で個別に取ってもいいですか?

海辺の岩場に広げられた白のクロス。ページがめくられた本。ブドウとシャンパングラス。ひまわりとシャンパンボトルがはいった籐のかご。

 来年のGWは10連休となる見通しで、ニュースなどで話題になっています。1か月の3分の1がお休みになるのはインパクトがありますね。

 

休日といえば、振替休日にまつわる質問をとてもよくいただきます。ご質問で多いトピックには、

  1. 振替休日をいつにするかを社員が指定してもいいのか?
  2. 振替休日は会社一斉にとらないといけないのか?

といったものがあります。

前述のとおり、来年のGWは10連休となるなら、たとえ随分前から仕事の段取りをつけていたとしても、突発的な何らかの事情で社員が出勤せざるを得ないこともあるかもしれませんよね。

 

そんなときにはどのように対応するとよいのでしょう。そこで今回は、上記の2点について確認していきたいと思います。

いつに振替休日をとるか社員が決めてもいいのか

ストライプ模様のクロスの上に広げられたレモン、籐のかご、麦わら帽子、カメラ、ピアスがのった本。

振替休日とは、あらかじめ休日と出勤日をカレンダー上で交換して、休日を移動させて変更しておく措置のことです。

 

この場合、出勤日と交換する休日について、カレンダー上いつの休日と交換するのか、必ずしも特定することまでは求められていません。労基法上の休日は、できる限り特定することが望ましいけれど、特定することは要件ではないからです。

 

ですから「今月2週目の日曜日は、4週間以内で他の出勤日と振り替えることで変更とします。振替休日はその範囲内で、社員のみなさんが指定する日とします」と、社内で合意形成することはOKです。

 

つまり、社員が一定期間中(休日は週1日が原則なので法定休日であれば所定の4週間以内)に振替休日を指定するかたちで、休日の変更を行うことは違法ではありません

 

また、社員による振替休日の指定は事前に行われていることが望ましいですが、以下の要件を満たしているのであれば、事後の指定でも有効となります。

  1. (社員による指定が)事前に休日振替の措置であることが明示して行われること
  2. 所定期間内に指定されること

振替休日は社員一斉にとらないといけないのか

サクランボがいっぱい盛り付けられたグラス。傍らに麦わら帽子。

結論からお伝えすると、休日の振替は会社全体ではなくて、社員それぞれについて行っても構いません。

 

「休日の振替は会社全体でやらないと法律に違反するのですよね?でもそうすると、部門ごとで都合が合わなくてうまくいきません・・・」といったご相談をお聞きすることがありますが、休日の振替は部署ごとでも、作業ラインごとでも、ひとりの社員に行っても、全く問題なくさしつかえありません

 

休日は休憩のように事業場一斉で付与する必要はなく、社員それぞれについて毎週1日または4週4日付与すればいいものだからです。

 

ですから、たとえばサービス業で年中無休や24時間営業の会社では、社員一人ひとりに交代で休日を付与することになります(言い換えると、会社やお店の営業は「年中無休」「24時間営業」でいいですが、社員には交替で毎週1日または4週4日の休日を必ず付与しなければいけないということです)。

 

このように休日は社員個人に焦点をあてて付与されるものなので、その振替についてもちろん社員個人ごとでさしつかえなく、会社全体、事業場一斉で振替を行う必要はありません

 

なお、就業規則で「会社全体で休日の振替を行う」旨を規定していた場合は、この休日振替の手続きに拘束されることになります。

けれど、たとえ会社がそれによらず「社員個人についての休日振替」を行ったとしても、労基法上は有効となります。

 

***

土日のオフィスは取引先からの電話やメールもなく、静かで集中できるので、平日と土日を振り替えて勤務できる制度をつくっている会社もあります。

 

けれど、そもそもの休日振替の基本を理解していないと、社員から「この会社は出勤に関してユルイ(だからルーズにしてていいだろう)」との誤解を受けかねません

もし土日ばかり出勤して、平日に緊急の要件が発生したとき(休みのため)社員と連絡がとれなくなってしまうのなら、再度検討が必要ですよね。せっかくの制度が活かされず、形骸化するおそれもあります

 

いちごとキウイがあしらわれたグラノーラのカップ。金色のスプーン。

制度やルールで社員をがちがちに管理しましょう、といっているのではありません。

まずは基本形をおさえることからはじめ、会社の業績アップにつながる柔軟な制度の構築を考えていきたいですね。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。談笑するビジネススーツ姿の男女。

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