就業規則を作って終わる会社、作って活かす会社

ページがめくられた本の上に置かれた桜の小枝。桜の花びらに手をのばす。

10人以上の社員がいる会社には、就業規則の作成義務があります。ところが・・・

 

就業規則を作成して、一読した社員から「年休は社員の権利だから明日休みます」との申し出が。権利だけ主張されて、こんなことなら作らなければ良かった・・・と、就業規則の作成を悔やむ会社

 

一方、就業規則の作成をきっかけに「こんな理由で年休取得のルールがあるんですね」「だったらみんなが年休をとれるよう、あの仕事はこうしませんか」など、社員からの理解やアイデアを得て、仕事のやり方を見直して生産性がアップした会社

 

今回は、就業規則の作成で「作って終わる会社」と「作って活かす会社」の違いがどこにあるのか、詳しく確認していきたいと思います。

就業規則を作って終わる会社

テーブルに置かれた白のカップ&ソーサとクラシカルなカメラ。

会社と社員の間で、就業規則の定めるルールについて理解や解釈が食い違えば、当然ながら運用はうまくいきません。

 

「理解の差」ができやすいのは、日常的な社員の待遇へ直結する、年次有給休暇や残業代などについて。会社にとっては日々の忙しさに紛れて、なんとなくウヤムヤにしたいトピックスかもしれません。

 

なぜ会社がウヤムヤにしたいか、その大きな理由は、「社員みんなが年休をとって稼働率が下がると困る」「残業代の支払いで利益を食ってしまっては経営が立ち行かない」からです。

 

決して「社員に年休を取らせたくない」「残業代を支払いたくない」との理由ではないはずです。

ここに会社と社員の理解のギャップがあります。

 

けれど「好き放題に年休で休む社員➡日中の稼働率が下がり、その分深夜残業➡利益が残業代で食ってしまってボーナスが出ない」というような悪循環は、誰も望んでいないはずです。

 

「稼働率を下げずに年休をとるため」のルールや、「むやみな残業を見直しても、なお必要に迫られて行った残業に対してはきちんと残業代を支払う」との会社の意思を定めたものが就業規則であること。

就業規則を作って終わる会社は、これらを社員に十分理解させていないために、権利の主張が先に立つ残念な結果を招いてしまうのです。

就業規則を作って活かす会社

ぺーじがめくられた分厚い本。紅茶のはいったガラス製のカップ&ソーサ。太陽の光が差し込んでいる。

就業規則を作って活かす会社は、社員の権利とともに、会社を伸ばすためにとるべき行動をしっかり社員へ伝えています。たとえば次のようなストーリーを語っています。

 

年休はきちんと取ってください。残業代もちゃんと支払います。でもそれをいいことにみんなが好き放題に休んだり、ダラダラ残業ばかりやっていては会社の経営はおじゃんです。経営不振になって、たとえば整理解雇なんてことは避けたい。

 

だから生産性を上げるには、どうしたらいいかをみんなで考えて欲しい。年休をとるな、といっているのではなくて休むには自分の仕事を誰かに引き継ぐ必要があります。

 

そのためには周りのスケジュールを考えながら代わりの要員がいります。その調整のための猶予として、年休の申請は1週間前にしてほしい。これを就業規則にルールとして定めています。仕事の引継ぎをスムーズに行うためにも、チームでそれぞれの仕事内容を日常的に共有してほしい。残業にしても、早く仕事を終わらせることだけを考えるのではなくて、そもそもやる必要のある仕事なのか、ということを見直してほしい。」

 

そのため社員が理解できて、「こうすればもっと部署間のやりとりがスムーズになる」「ここをメンバー全員が押さえておけば誰でもできる仕事になる」など、会社全体で仕事のやり方を見直すチャンスを掴んでいます。その結果、生産性の高い働き方を実現できているのです。

作った就業規則を活かすには

ペーパーバックスのうえに置かれた花柄のカップ&ソーサ。カスミソウのドライフラワー。

このように会社と社員の理解のギャップを埋めるには、就業規則をしっかり社員へ説明することが大切です。

 

就業規則は、社員のやる気を引き出し、会社を伸ばすための行動を導くもの。就業規則への社員の理解がなければ、本来の目的を果たすことができません。また就業規則に定めたルールや制度をうまく軌道に乗せるには、その背景や目的について社員をどれだけ納得させられるかにかかっています

 

ですから忙しくても必ず時間をとって、就業規則の社員説明会を開催することをお勧めします。

 

そのための事前準備にはなるべく手間取らず、スムーズにサクサクと進めていただきたいとも思います。

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さて、そこで「説明文書作成ワークシート」をご用意しました。

このワークシートを活用すれば、社員に説明するべきこと、また社員に伝えたい制度の背景や目的、想いなどを整理することができます。

 

また事例がついていますので、参考にしながらワークに取り組めます。

 

ぜひダウンロードして、活用していただければと思います。

ピンク色と白色の小さな花が浮かべられた紅茶のカップ。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。談笑するビジネススーツ姿の男女。

無料コンテンツ。ページが開かれた分厚い書籍。ガラス瓶に活けられた四つ葉のクローバー。
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