新しくビジネスを始めたい!人の手を借りる2つの方法の続きです。
新しくビジネスを始めるとき、「雇用」は先行投資ともいえます。
はじめて雇い入れた人が、ビジネスの立ち上げという大変な時期を乗りこえて、定着してくれるかどうかは未知数だからです。
事業立ち上げ時に避けるべきは「資金ショート→事業ストップ」となることです。
そこで今回は、先行投資の「雇用」にかかるお金の面において、考えておくべきポイントをみていきたいと思います。
①最初から給料額を高く設定しすぎない
ビジネスの立ち上げ時には、少数精鋭で仕事を行いたいので「いい人に来てほしい!」と思うもの。けれど人件費の支払可能額を考えずに、給料額を背伸びして高めに設定しまうとリスクを抱えてしまうことになってしまいます。詳しくは次項から。
②一度決めた給料額は社員の同意なくして下げられない
何の根拠もなく一方的に給料を減額することはできません。社員の同意が必要ですが、なかなかOKとは言ってもらえないですよね。
③給料額の設定は業界平均、前職見合い、社員のライフスタイルとのバランス
では給料の額をどうやって決めればいいのか?
まず、ある程度身をおく業界の平均を押さえておきましょう。業界平均ほどの支払余力がない、ということなら、「うちでしか積めない経験」「他社にはないやりがい」など、働き手にとって「当社で働くと得られる」何らかのメリットをアピールできるといいですね。
なお業界平均について、都道府県労働局の統計情報で入手することができます。
ちなみに大阪労働局ではこちら。
その他には、社員本人のライフスタイルを考慮しておくこと。もし当人が家庭において家計の主たる部分を担うのなら、前職時の給料との見合いも考えてあげなければ、暮らしに影響があるかもしれませんよね。腰を据えて仕事してもらうことも難しくなってしまいます。
④社会保険料、通勤費などを含めた総額人件費で考える
給料の額だけでなく社会保険料の負担も考えておく必要があります。社会保険とは労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険のことを指しますが、会社が負担する保険料はおよそ15%です。
通勤費は「これだけ出さなければならない」と法律で決められていません。ですから「出さない」選択肢もありますし、支給の上限額を定める場合もあります。支給基準を決めておくことが大切です。
また時間外労働をさせた場合は、割増率25%の残業代が発生します。
以上をまとめますと、「この人は月給○○万円にしよう」と考えた額に、少なくとも社会保険料の会社負担分、通勤費、残業代をプラスして総額人件費で見積もっておく必要があります。
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「雇用するのにこれだけのことを考えなければならないのか!」と思われるかもしれませんが、これを面倒くさいと思うと確かにデメリットになるでしょう。
けれどビジネスをしていくうえで、カギとなるのは人です。ものをつくるのも、お金を稼ぎ出すのも、取引先など人とのご縁をつなぐのも結局のところ人だからです。
人が会社に定着すればノウハウが会社に蓄積されます。そのノウハウをもって商品やサービスを充実させれば、さらに顧客のニーズに応えることができます。これが雇用のメリットといえます。
つまり社員がのびのび、それぞれの能力を発揮できる環境を整えることで、収益アップひいては会社を伸ばすことにつながるのです。
さて、次回は他者の手を借りるもう一つの方法、「アウトソーシング」のメリット・デメリットについてお伝えします。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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