休日の研修は出勤日としてカウントするか

パンケーキのお皿と果物のお皿。ぶどう、りんご、柿。コーヒーの入ったカップ&ソーサ。水のグラス。ページが広げられたテキスト。休日の朝。

「社員には仕事に必要な資格を取得してほしいので積極的に研修を受けてもらいたいが、研修の実施が休日ならどうなるんだろう?」

 

新人を職場に配置しても、すぐ能力を発揮して会社に貢献する人材になるわけではないので、会社としては社員のやる気を引き出して育てることが必要です。

 

社員のスキルアップを応援したい会社としては、社員に不利益のないようにするには「研修を休日に行った場合に休日出勤になるのか?」と判断に迷われることもあるようです。

 

そこで今回は、休日の研修にまつわる勤怠関係の処理について詳しく確認していきたいと思います。

研修と労働時間の関係

テーブルに広げられたノートパソコン。赤色のカップ&ソーサ。水の入ったグラス。

業務を遂行するうえで必須であったり、また必須ではないけれどあれば業務を幅広くこなせるため、会社として資格の取得を奨励している。そこで有資格者の社員を講師として、資格試験に向けた勉強会を休日に実施して、社内の合格者をもっと増やしたい。

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このようにスキルアップのためとはいえ、本来の業務に支障がないよう、また落ち着いて集中できるように研修や勉強会を休日に行いたい、と考えられる会社もあるのことでしょう。

 

ただ、資格試験を受けて合格しなければ(従事する業務のレベルが上がらないので)昇進や昇格はなく、資格手当の支給もない、ということであれば、どうでしょうか。

 

これは一見すると、社内勉強会に参加しなければ不利益(試験の不合格)を受けるようにも思えるかもしれません。つまり、実質的には「社内勉強会への参加は強制なのではないか?」との疑問が生じます。

それならば、休日に実施される社内勉強会は、労働時間としてカウントするべきなのでしょうか。

業務命令かどうかが分かれ目

オフィスの窓際に設置されたモニター画面とノートパソコン。マグカップ、一輪挿し、眼鏡が傍らに並んでいる。

この試験合格サポートの社内勉強会、もし会社が業務命令として参加を命じた場合には労働時間となります。ここが労働時間になるかどうかのポイントです。

 

実際は業務命令ではなく、自由参加としているケースが多いのではないでしょうか。またこの社内勉強会に参加しなくても受験自体はできるのであれば「不参加による不利益」として取り扱われません。

 

つまり、この社内勉強会は、やろうと思えば独学でも勉強できるけれども、その効果を高めるためのサポートとして開催されているものであり、休日に実施されているからといって、割増賃金を支払うべき休日労働にはあたりません

 

また、試験当日が休日であったとしても、休日労働には該当しません。たしかに、受験しなければ昇給や昇格をはじめとする労働条件が、今以上に良くなることはもちろんありません。ですが、受験しなかったからといって、欠勤になるわけではなく、また賞与の査定などで受験しなかったことが不利益に働くわけでもないので、直接的な不利益な取り扱いとはいえません。参加を強制されているわけではないので、労働時間にはあたらず、休日に試験が実施されても休日労働にはならないのです。

魅力的な会社はキャリアアップを応援する

テーブルのへりに置かれたコーヒーの入ったカップ&ソーサ。傍らに大輪のユリの花。

会社が人を育てるには、次の2つの方法があります。

  1. 実際の仕事経験を通じて実践的に学ばせる
  2. 研修や勉強会を通じて体系的に学ばせる

1.ではなかなか言葉で言い表せない細かなノウハウを伝達できるメリットがあります。

2.では会社が個人のキャリアアップを支援する側面があります。

 

前段でお伝えしたように、休日に行われる自由参加の社内講習会をあえて休日労働扱いにする必要はありません。

 

ですが、社員にキャリアアップを求めるからこそ、その行動をサポートする会社は社員にとってとても魅力的です。(念のため、休日に行われる自由参加の社内講習会をあえて休日労働扱いにすることが「社員にとって魅力的」と言っているのではありません。)

 

会社が個人のキャリア開発に何らかの支援を行うことは、競争が激しい現在の採用市場において、優秀な人材を獲得するためにも必要なポイントかもしれません。社員へのキャリアアップ支援が会社としてのステイタスになる、ということです。

 

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ヒトはカネやモノといった単なる経営資源ではなく、感情を持って成長する存在です。

 

人としての価値を認めてくれ、さらなる成長をバックアップしてくれる会社で「よし、いっちょやってみよう」と働く意欲がわきます。そして最終的には人材が成長することへの投資が、会社の目的や戦略の達成へとつながるのではないでしょうか。

 

会社の前向きな姿勢を社員にしっかり伝えたいですね。

光が降り注ぐピンク色のカーネーションたち。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。談笑するビジネススーツ姿の男女。

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