会社が社員に支払う毎月の給料は、基本給にプラスして、家族手当や役職手当をはじめいろいろな手当を支給している場合が多いでしょう。
とはいえ、「以前は何か意味があったのだろうが、今となっては支給の意味がわからない・・・」といった、支給目的のわからない手当は、みなさんの会社にはありませんか?
そんなときは手当を見直す、もしくは廃止するタイミングです。
とはいえ、慌ててすぐさま手当の支給をやめるのはいったんストップにしておきましょうか。というのも、手当を廃止する前に、ぜひとも考えていただきたいことがあるからです。
そこで今回は、いま支給している手当を廃止に不向きる前に検討しておきたいことについて、詳しくみていきたいと思います。
手当を支給する理由は
基本給に加えて手当をつける主な理由は、大別すると次のような内容でしょう。
- 職務内容をフォローアップするため(役職手当、危険手当、夜勤手当など)
- 労働時間の長短や業績に対応するため(残業手当、業績手当など)
- 人材マネジメントを円滑に行うため(資格手当、出向手当、単身赴任手当など)
- 社員の暮らしに対する配慮のため(家族手当、住宅手当など)
これをもとに「自社の手当は何を目的として支払っているのか」また、「明確な理由はあるのか」、について振り返ってみましょう。
時間外労働に応じて支払う手当を除いて、法律で支給が義務付けられている手当はありません。
支給の目的がはっきりしなければ「こういう理由で〇〇手当を支給しています」と社員に動機付けできないので、社員にしても「もらって当たり前」の感覚になってしまいますから、見直してみる余地があるかもしれません。
手当を見直すうえで大事なこと
最近は成果に関係のない手当は廃止・縮小して、基本給に一本化する傾向がみられます。
たとえば資格手当を例に挙げると「資格を持っているという事実よりも、いかに仕事で貢献したか、その成果を評価したい」、との考え方からです。
というのも成果を出すには、顧客のニーズ、自社の商品、市場の動向、競合などについての知識が必要です。集めた情報の分析などのスキルを身につけるため、資格の取得を成長目標にすることは社員にとって大きな励みになるからです。
会社にとっても、たとえば製造業ですと、資格取得者を増やすことで顧客へ技術力を改めてアピールすることができます。ビジネスチャンスが広がり、収益の安定につなげることもできるでしょう。
つまり資格そのものが顧客へのアピールになるだけでなく、資格取得を目指すプロセスが社員のスキルアップにつながるので、手当の支給目的を社員へしっかり伝えることが大切です。
手当の廃止・縮小トレンドが、自社の事情に必ずしも合っているとは限りません。どの選択が会社を伸ばすことにつながるのか、十分な検討が必要です。
就業規則への記載について
就業規則には「賃金(手当を含む)の決定方法」を記載しなければならないので、「資格手当」と項目しかないのは改める必要があります。
たとえば「資格手当は○万円とする」と具体的な金額を記載する。これは社員にとって一番わかりやすい書き方です。
具体的な金額が決まっていない場合は、「資格手当は会社が指定する資格を有し、その職務に就く者に対して支給する」と資格を活かした働き方をすれば手当をもらえると、社員のモチベーションアップへつなげるのもいいですね。
あくまで記載しなければならないのは、それぞれの会社における各手当の「決定方法」です。具体的な金額を記載することまで、法律で求められていません。
みなさんの会社の就業規則ではどうなっているでしょうか?この機会にぜひ一度、就業規則をチェックしてみてくださいね!
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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