「人手が足りないので数人まとめて正社員として採用しましたが、パートにしておけばよかったな、と後悔しています」
正社員にすればやる気をだして働いてくれるはず、とのねらいが期待はずれになってしまった・・・
実は、このようなエピソードをよく伺います。
これは正社員、パートタイマーそれぞれにどんな働き方をしてほしいのか、役割分担をあらかじめきちんと考えておかなかったために起きる問題です。
今回は、正社員とパートタイマーの役割と働き方について詳しく確認していきたいと思います。
なぜ期待はずれになってしまうのか
正社員、パートタイマーなどの雇用区分は法律で決まっているわけではありません。
そのため、自社にふさわしい、オリジナルの雇用区分を考える必要があることは、過去記事「正社員とパートタイマーの違いを説明できますか?」でお伝えしました。
「正社員なら生活が安定する」など社員が会社に期待すること、「正社員ならもっと働いてほしい」など会社が社員に期待すること、それぞれあるでしょう。
双方のニーズの落としどころを探りながら、会社を伸ばしていくには、「正社員にはこんな業務をしてほしい」「パートにはこんなサポートをしてほしい」など、役割をあらかじめ具体的に考えておき、それを伝えることです。
「正社員」「パート」の定義を決めないで、要員計画、募集内容、労働時間、休日、給与など働き方(労働条件)を考えてしまうと、先のような問題が生じて、頭を悩ませることになってしまいます。
では、次から正社員、パートタイマーそれぞれの役割、働き方をどのように考えればいいのかみていきましょう。
正社員、パートタイマーそれぞれの役割とは
正社員が担うべき役割の性質をひとことで表すと、「高度」「非定型的」「裁量的」。
(パートタイマーよりも)レベル、質が高く、生産性の高い仕事をこなすことが求められるイメージです。たとえば具体的な仕事は次の通り。
- 新規顧客の開拓、既存顧客のフォローアップ
- 販売ルートの開拓
- 新商品の開発
- 人材育成やマネジメント
対してパートタイマーの役割の性質をひとことで表すと、「単純」「定型的」「非裁量的」。
誰がやっても問題なくこなせる仕事、といえます。たとえば具体的な仕事は次の通り。
- 商品の陳列、補充
- 軽作業(梱包・仕分け・検品など)
- データ入力、タイピング
- 定型的な書類、伝票の作成
メイン業務とサポート業務、それぞれが自分の役割を認識できると、お互いに不足を補える関係となり、仕事が効率良くはかどります。
まかせたい役割、仕事内容から採用すべきは正社員なのか、パートタイマーなのかを考えるといいですね。
正社員、パートタイマーそれぞれの働き方とは
メイン業務とサポート業務をうまく組み合わせることのできる、働き方を考えてみましょう。労働時間がわかりやすいので、例に挙げます。
- 正社員は顧客、取引先の直接の窓口になることが多いため、対応がピークとなる時間帯を中心に始業・終業時刻を設定する。
- そのピークの波が1日ではなく1か月、1年単位だということなら変形労働時間制にする。
- 顧客対応のピークが一日中ずっとだ、ということなら正社員をグループに分けて時差出勤にする。
このようなことを検討してみるといいですね。
なお、パートタイマーについては、次のような体制が考えられます。
- 正社員の繁忙に合わせて、早朝、日中、夕方と勤務時間を設定する。
- 検品など集中力を要する仕事を任せたい場合は、頭数を増やして短時間のシフト制にする。
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仕事をスムーズに進めるには、正社員とパートタイマーの役割の組み合わせをどのようにしていくのか?
これを考えながら働き方(労働条件)を設定できると、効率よくかつ快適に仕事に取り組むことができ、職場のみんなのパフォーマンスがぐっと上がると思います。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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