派遣社員のAさん、うちの仕事が終わったら他社でも働いているそうだ。今のところ、仕事に支障はないようだけど、うちの社員には就業規則で原則副業を禁止しているし、他社での仕事を辞めてもらえるようにはできないだろうか?
**
他社でのアルバイトを辞めて、当社の仕事に集中してほしいと思う、派遣社員が所属する部署の上司です。
就業規則に原則副業を禁止する旨が定めてあるとはいえ、派遣社員に派遣先の就業規則が適用されるのでしょうか。
そこで今回は、派遣先が派遣社員に対して他社でのアルバイトを辞めるように命令できるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「職場でいっしょに働いてもらっている派遣社員さんは、派遣元の会社で健康診断を受けるから、来月の健康診断をうちの会社で受ける人は〇人。・・・じゃあ、うちには派遣社員さんの安全配慮義務はないってことなの?」
来月に実施する一般健康診断の準備に忙しい、人事部員のBさんです。「健康診断→働く人の健康→会社の安全配慮義務」と連想が働き、普段いっしょに働く派遣社員さんの安全配慮義務についてギモンが浮かんだのでした。
労働者派遣は雇用と使用が分離する形態なので、人材マネジメントにおいてややこしく感じる場面もあるかもしれません。
そこで今回は、派遣社員の安全配慮義務を派遣先と派遣元のどちらが負うのか、詳しく確認していきたいと思います。
先月の研修合宿ではレポート課題があり、各自作成して翌日提出するものだった。あるグループではディスカッションが白熱して、深夜に及んだらしい。「その時間は残業申請していいですよね」との質問があったけれど、これって残業時間になるの・・・?
**
普段とは異なる環境で集中して、スキルアップや社員同士のつながりを深めてもらうために開催された泊まり込みの研修。翌日提出のレポート課題に取り組んだ時間を残業扱いにするべきなのか、判断に迷う人事担当者さんです。
というのも、他のグループから同様の声は上がっていなかったからです(課題はサクッと終わった、お菓子を食べながら談笑をまじえて取り組んだ、などの様子)。
そこで今回は、研修合宿中の深夜のディスカッションやレポート作成時間を会社はどのように扱うべきか、詳しく確認していきたいと思います。
配送ドライバーの社員が、週末の休みにマイカーで事故を起こした。社会的に自動車事故への世間の目が厳しくなっているし、当社での本人の職種を考えると、教育的指導のため何らかのペナルティー(懲戒処分)を与えるべき・・・?
**
近年は飲酒運転だけでなく、社員の自動車事故全般について、会社に対して(本人はもちろんのこと)十分な事故対応策をとっていたのかどうかが厳しく問われる時代になっています。
とはいえ、会社が社員のプライベートでの事故に対して懲戒処分を行うことができるのでしょうか。
そこで今回は、ドライバー社員が私生活上の事故を起こした場合に会社がとるべき対応と懲戒処分について、詳しく確認していきたいと思います。
ある社員が3か月前から音信不通となり、行方不明になった。ご家族のご心痛を思うと、せめて本人の未払い給与をご家族に支払いたいが、法律的にどうなんだろう?
**
行方不明となった社員のご家族の生活状況を思い、未払いとなっている本人の給与の扱いに悩む人事担当者さんです。
というのも、労働基準法においては賃金の直接払いの原則があるからです。これは、社員本人以外の人に給与を支払うことを禁止しているわけですが、状況が状況だけに許されるのでは・・・?と気持ちが揺れるのでした。
そこで今回は、行方不明になった社員の未払い給与と直接払いの原則との関係について、詳しく確認していきたいと思います。
会社の決済ルールの変更で、月末に売上、仕入や給与のタイミングをまとめることになった。給与締め日がこれまでから後にずれることになるので、給与計算期間が短くなって支払額がえらく低くなるけれど、これで問題ないのかな?
**
給与計算の締め日の変更で給与計算期間が短くなり、その結果支払額が低くなった場合、全額払いの原則(労基法で賃金は全額支払わなければならないと定められている)に違反しないのか?と心配になる担当者さんです。
給与計算の締め日と支払日の変更で、ただでさえ手続きが煩雑になるのに、社員さんから問い合わせがバンバンやってくることが予想されるからです。
そこで今回は、給与締め日の変更と全額払いの原則との関係について、詳しく確認していきたいと思います。
36協定の有効期限は、担当者にとって地味にプレッシャー。協定の締結はもちろんだけど、労基署への届出を忘れていたらアウト(゚д゚)!時間外・休日労働は違法労働になっちゃう・・・毎年、毎年ほぼ同じ内容なら、有効期限を3年くらいにしてもいいんじゃないの?
**
36協定の有効期限が1年ではなくて3年に延長されると、少しはプレッシャーから解放されるのでは・・・と思う人事部のBさんです。
36協定を締結して、所轄の労働基準監督署に届け出るという手続きを毎年行うのは煩雑なので、「業務の効率化」のため有効期限を3年とすることを上司に提案してみようと考えています。果たして、これは事務処理の向上に有用なのでしょうか?
そこで今回は、36協定の有効期限について詳しく確認していきたいと思います。
たとえば、36協定の手続きをスッカリ忘れていて放置状態になっていたとしたら、労基署から指摘があるかもしれないのは当然のこと。ただ、そんな無協定の残業であっても、社員から体調不良を訴える声がなかったら、会社が安全配慮義務違反を問われることはないの?
**
36協定の有効期限が迫っているため、手続きが遅れないよう取り組む人事部のBさんです。手続きをすすめながら、冒頭のようなギモンが浮かんできました。
安全配慮義務違反が認められるということは、安全配慮義務違反と病気やケガの発症・増悪との間に相当因果関係があると解釈されているからです。
そこで今回は、社員の心身の不調がない場合、会社は安全配慮義務違反に問われないのか、詳しく確認していきたいと思います。
エアコンの使用が欠かせない季節は、オフィス内の換気がイマイチで・・・社員が感染症にかかったら、職場の感染症対策が不十分ということで社員に対する安全配慮義務違反に問われて、会社の責任になったりするのかな?
**
もし社員から「(職場の換気が悪かったから)感染症にかかったのは会社のせい」といった苦情があったとしたら、どう対応したらいいのか・・・と判断に迷う人事担当者さんです。
とはいえ、感染症は普通に日常生活を送っていても感染する可能性も高いものですから、「会社の責任としてどこまで対策を行えばいいの?」とギモンにも思うのでした。
そこで今回は、職場での感染症対策と会社の社員に対する安全配慮義務の関係について、詳しく確認していきたいと思います。
朝から職場で機器トラブルやネットワークトラブルが頻発しているので、テレワーク中の担当者に急きょ来てもらうことに。だが、出勤途中に運転操作を誤って電柱に衝突し、首に軽度のむち打ちを負った。会社はこの社員に対する安全配慮義務違反に問われるのだろうか?
**
テレワーク中の社員に急きょ職場への出社を求め、例外的にマイカー通勤を許可したものの、その途上で社員が事故で負傷。「会社がわざわざ出社命令を出したのがまずかったのか?」と頭を抱える人事担当者さんです。
テレワークを行っている自宅から職場への移動時間に社員が事故に遭った場合、会社は安全配慮義務違反に問われるのでしょうか。
そこで今回は、テレワークからの移動中の事故と会社の安全配慮義務について詳しく確認していきたいと思います。
会社には、社員の生命、身体等を危険から保護するよう配慮する義務がある(安全配慮義務)。でもうちの職場ではなく他社で働いている出向社員はどうなるの?だって物理的に離れていて、日頃どんな様子で働いているのかわからないし・・・
**
出向社員にまつわる安全配慮義務について、ふとギモンに思う人事担当者さんです。
出向(在籍出向)は、出向元の社員としての地位を持ったまま出向先で働かせるものなので、出向元と出向先の両方で二重の労働関係が成立します。
出向元企業の社員であると同時に、出向先の社員でもある出向社員の安全配慮義務について、どのように考えるとよいのでしょうか。
そこで今回は、出向先と出向元のどちらが出向社員の安全配慮義務を負うのか、詳しく確認していきたいと思います。
営業部のBさんが過労で入院することに。度々自宅に仕事を持ち帰ってお客さんへの資料などを作成していたらしい。上司が持ち帰り仕事を指示したことはなく、Bさんからも申告がなかったので、持ち帰り仕事に費やした時間を把握していなかったが、会社としてこれからの対応をどうしたらいいのか?
**
社員が身体を壊すほど持ち帰り仕事をしていたことを把握していなかったので、会社として責任を問われるのではないかと、対応に頭を悩ませる人事担当者さんです。
持ち帰り仕事は自宅でテレビをみながらでもでき、会社の管理監督下になく自由のため労働時間にカウントされません。ですが、持ち帰り仕事をせざるを得ないような業務量になっていたことを会社が把握しないのは問題となります。
そこで今回は、社員の持ち帰り仕事に会社がとるべき対応について、詳しく確認していきたいと思います。
Xさんが仕事中に倒れてしまった。Xさんは勉強のため、うちの勤務時間外に別のY社でも働いていて、うちとY社での労働時間を合算すると月に100時間を超える時間外労働をしていたらしい。Y社での労働時間を把握していなかったが、会社としてどうしたらいいの?
**
労基法では「労働時間は異なる職場で働く場合でも通算する」との旨が定められています。
本業の職場での労働時間とその社員からの申告等により把握した、他の企業における職場(副業・兼業)での労働時間を通算することになりますが、社員からの申告等がなかった場合には、労働時間の通算は必要とされません。
そんななか、社員が過労で体調不良になってしまい、会社としてどう対応すればいいのか、悩みが深くなる人事担当者さんです。
そこで今回は、副業・兼業による長時間労働に会社がとるべき対応について詳しく確認していきたいと思います。
新入社員のAさんがメンタル不調で出勤できなくなった。些細なミスに対して皆の前で立たされたまま先輩から大声で長時間叱責されたり、「こんなミスして給料泥棒」など人格否定もあった様子。人知れずかなり残業もしていたようで、今後どんな対応をとるといいのか?
**
新入社員のメンタル不調、長時間労働、パワハラ問題・・・これからの対応に頭を悩ませる人事担当者さんです。
給与計算のためタイムカード上の記録は把握していたものの、労働時間マネジメントは所属部署に任せきりでしたし、先輩の暴言、執拗な非難についても、現場の指導方針に口出ししまいと一任してきたからです。
新入社員は仕事に不慣れなことから長時間労働になりやすく、新入社員に対する指導は一般社員に対するものより慎重さが求められます。
そこで今回は、パワハラ的な指導による新入社員のメンタル不調に会社がとるべき対応について詳しく確認していきたいと思います。
Aさんからテレワークに必要な椅子を購入してほしい、との申出があった。Aさんの家ではスチール製のスツールしかなく腰を痛めそうなので、オフィスで使用しているワーキングチェアが欲しいと・・・会社が椅子を買わないでAさんが腰痛になったら、会社の責任になるの?
**
この会社のテレワーク制度では、自宅での作業に必要な備品は、社員それぞれの費用負担で準備してもらうことにしているので、Aさんの申出に戸惑う人事担当者さんです。
テレワーク時の備品等の費用については就業規則で社員負担と定めているので、Aさんにだけ備品の費用を支給するわけにもいきません。とはいえ、Aさんが腰痛になったとしたら会社に問題がある(安全配慮義務違反)のでしょうか。
そこで今回は、テレワーク時の作業環境と会社の安全配慮義務について詳しく確認していきたいと思います。
「職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数は、2023年に1,045人、うち死亡者数は28人」・・・職場全体で熱中症予防の知識を共有して、対策をとらないと最近の暑さは乗り越えられない・・・
**
厚生労働省の資料をみて、意識を改める人事担当者さんです。でも後輩社員は「会社がそこまでやらないといけないんですか、体調管理はそれぞれの問題では?」と不思議そうな顔。
職場における熱中症予防についての通達が厚労省から出されており、これを参考に具体的状況に応じた対策をしていない場合、会社の安全配慮義務違反が認められる可能性があります。
そこで今回は、職場でおこる熱中症と会社の安全配慮義務について、詳しく確認していきたいと思います。
上の方針で、今後のキャリアのため本社勤務のAさんが、関連会社に役員として出向することになったそうだ。初めてのことなので、人事部(会社)として気をつけることはなんだろう?
**
中堅社員のキャリア形成やシニア社員の処遇などを目的として、その社員を子会社や関連会社に役員として出向させるケースがあります。
とはいえ、このような役員出向が人事部員として初めての経験なので、通常の業務命令として役員出向を取り扱ってよいのか、何か特別に会社としてやるべきことはないのか、戸惑う人事部員さんです。
そこで今回は、社員を役員として出向させるときに会社が気を付けるべきことについて、詳しく確認していきたいと思います。
「最近では30歳代のメンタルヘルス不調も急増しているらしい。若手社員が多いうちの職場。メンタルヘルス対策として、うちで何をやったらいいのかな?」
メンタルヘルス不調は、その要因のひとつに働きすぎがあります。新型コロナウイルス感染症の影響などからフレックスタイム制や裁量労働制、在宅勤務などが広まりましたが、これらの働き方は自己管理がうまくできないと長時間労働になる側面もあります。
メンタルヘルス不調の社員に対する対応を適切に行うには、就業規則を整備することが重要です。
そこで今回は、職場のメンタルヘルス対策を就業規則に規定する際の留意点について詳しく確認していきたいと思います。
労働条件の明示はきちんとやらないとね。でも、昔はこんなんじゃなかったなあ?自分が働き手だったときも極端な話、「時給はこれくらいで、何時から何時まで、明日からいい?」「いいです」みたいな感じ。でも特にトラブルもなかった・・・なんで?(飲食店 オーナー談)
法改正により2024年の4月から労働条件の明示のルールが変わった(労働契約の締結・更新のタイミングの労働条件明示事項が追加されます)ので認識を改めながらも、口頭の合意のみで成立した労働契約でトラブルが発生しなかったことについて、ふとギモンを覚えるオーナーさんです。
その理由は、日本では就業規則で統一的に労働条件を設定することが広く行われていることにあります。
そこで今回は、就業規則が労働契約内容となることについて、詳しく確認していきたいと思います。
「始業時刻より早くにタイムカードが打刻されても、実労働時間のカウントは始業時刻から。じゃあ、終業時刻をだいぶ過ぎて打刻されたタイムカードはどう扱ったらいいんですか?」
人事部に配属された新入社員にタイムカードのチェックをお願いしていると、質問攻めにあう先輩社員です。
終業時刻とタイムカードの打刻の関係は残業代(時間外労働)にダイレクトにかかわってきますし、社員が自主的に職場に居残っているケースもままあることから、「質問にきちんと丁寧に答えなくては!」と意気込むのでした。
そこで今回は、終業時刻をかなり過ぎたタイムカードと社員の自主的な居残りにとるべき会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「タイムカードを集計していると、みなさん9時より早い出社です。それは残業時間としてカウントしなくていいんですか?」
人事部に新入社員が配属されてきました。タイムカードのチェックをお願いしていると、不思議そうな顔で質問を受けた先輩社員です。
この職場では始業時刻が9時ですが、それより前に出勤するのは当たり前で、タイムカードの打刻時刻との差が生じるのもいつものこと。その「いつもの当たり前」についてストレートに聞かれると、「なんて答えるといいのかな?」と戸惑いをおぼえるのでした。
そこで今回は、始業時刻とタイムカードの打刻時刻に差があるとき会社のとるべき対応について、詳しく確認していきたいと思います。
性別の回答を強要しない配慮が必要とか、プライバシー性の高い「配偶者の扶養義務」といった情報を把握するのは好ましくないとか、採用選考のキホンをアップデートするのは大変だ。一緒に働く仲間を選ぶのだから会社の好きにしてはダメなの?
**
採用選考の面接官をやることになり、「面接官の心得」について人事部からお達しがあった営業課長さん。自分が学生の時とは様変わりした、採用選考時において配慮すべき事項に戸惑っています。
とはいえ、民間の私企業が社員を採用するにあたって、何か特別に採用を強制されるような法律上の拘束があるかというと、そうではありません。
そこで今回は、採用選考を会社の好きにしてはダメなのか、詳しく確認していきたいと思います。
「最終面接も済んで、やっと採用内定が出せそうだ。・・・この内定者って、入社していないからまだうちの社員じゃないよね。それなら法律的にはどんな取り扱いになるんだろう?」
人事部員として初めて採用活動に関わり、達成感に浸りつつもふとギモンに思う若手社員です。
採用内定者は、卒業を迎えるまでは学生なので労働義務を負っていませんし、もちろん給与も支払われていない身分なので、労基法で保護される「労働者」には該当せず労基法の適用は受けません。
これから人事担当者として内定者フォローを行い、内定者の不安を解消して、無事入社につなげることがミッションなので、採用内定者の法的地位が気にかかるのでした。
そこで今回は、採用内定者が法律上どのように取り扱われるのか、法的位置づけについて詳しく確認していきたいと思います。
子育て社員のことを考えると、学校行事の参加とか時間単位年休があると便利よね。通院とか家族の付き添いをしやすいよね・・・とはいえ、うちは一斉でやる作業が必要だから業務的になじまない点があるし、導入して職場が回らなくなっては本末転倒だし・・・
**
社員の抱える色々な事情に応じて、柔軟に休暇を取得できるよう時間単位年休の制度があります。そこで制度の導入に魅力を感じながらも現場の運営を考えると、判断に迷ってしまう人事担当者さんです。
とはいえ、企業全体ではなくたとえばある営業所や支店のみ時間単位年休を導入することも可能だったりしますし、自社にフィットした選択を柔軟に考えられるといいですよね。
そこで今回は、(意外と知られていない?)時間単位年休の取り扱いについて詳しく確認していきたいと思います。
欠勤や遅刻なんかを頻繁に繰り返す部下がいる。そのたびに注意しても、「遅刻した分給与から引かれてるんで(ノーワーク・ノーペイ)、何か問題あります?」と悪びれる様子がない。遅刻ぐらいで解雇なんてできない、とは聞くけれどどのくらいまで許容しないとダメなの?
**
正当な理由もなく、欠勤・遅刻・早退を繰り返し、やたらと仕事から離れる(私用外出)部下に、いまにも堪忍袋の緒がブチッと切れそうな上司です。
とはいえ、解雇は社員の生活に与える影響が大きいので、会社の解雇権の行使には法的な規制があります。勤怠不良による解雇が、直ちに有効となるわけではありません。
そこで今回は、社員の勤怠不良にまつわる解雇問題について詳しく確認していきたいと思います。
私傷病で休職していた社員が、復職のため診断書を提出してきた。でも「復職できる」との主治医の診断に対して、うちの職場をよく知る産業医の診断はそうではなくて・・・。会社としてどうするべきなの?
**
社員が職場復帰できるかの判断にあたって、医師の診断書が重要なのは言うまでもありません。とはいえ、主治医の診断(就労OK)と産業医の診断(就労NG)が分かれた場合、会社としてどのように対応するといいのか、悩みが深くなる人事担当者さんです。
社員の職場復帰に期待を寄せながらも、無理な復帰によって症状がさらに悪くなってはいけないからです。
そこで今回は、休職社員の職場復帰にあたって主治医と産業医の診断が分かれたとき会社がとるべき対応について、詳しく確認していきたいと思います。
関連会社への出向を「嫌がらせ人事」とか「報復的人事」なんて社員に思わせないために、出向命令の有効要件はきちんと守りたい。・・・でも、出向命令の正当性はどんなことで判断されるのかな?
**
出向社員のモチベーションを下げることのないよう、考えをめぐらす人事課長です。
出向とは、出向社員が出向元企業に在籍したまま、出向先企業でかなり長い期間にわたって出向先企業の仕事に就くことをいいます。
会社が社員に対して出向命令を行うには、その社員の承諾やその他法律面の条件に合った特段の根拠が必要とされています。
そこで今回は、出向命令の正当性はどんな基準で判断されるのか、詳しく確認していきたいと思います。
業務負荷の軽減のため、この春から勤務シフトを改編して勤務日数を減らし、労働時間を短縮させようとの案が社内で浮上している。勤務日数が減る分、給与も減ることになるけれど、これはノーワーク・ノーペイということで問題ないよね?(゚д゚)!
**
勤務シフトの改編による減少した勤務日数分の給与の引き下げは、ノーワーク・ノーペイの原則に則って大丈夫なのかな・・・少しばかりの不安を覚える人事担当者さんです。
その不安のとおり(?)、勤務日数の減少に伴って給与を減額するということは、労働条件の変更に関わってくるので、その変更が「不利益変更」になるのか、そしてそれが有効なのかという問題が生じます。
そこで今回は、勤務日数の減少分に応じた給与の引き下げは可能なのか、詳しく確認していきたいと思います。
復職にあたって本人の申告だけでは、本調子ではないのにかえって無理させてしまうかもしれない。うちの職場や仕事内容をよくわかってくれているお医者さんに診てもらってからがいいけれど、会社の指定医の受診を就業規則で義務づけることなんてできるのかな?
**
休職期間が満了しても復職できないときは、解雇または退職の猶予期間が経過したので、期間満了時に退職または解雇となります(一般的に休職は「解雇猶予の制度」と解釈されている)。
そのため、復職できるかどうかの判断について、慎重に検討を重ねる人事担当者さんです。会社にとって休職は、単に職場復帰を待つだけではなく、職場復帰後も継続して雇用するための制度だからです。
そこで今回は、復職できるかを判断するために、会社の指定医での受診を義務づける就業規則の定めは有効なのか、詳しく確認していきたいと思います。
次年度の年休付与にあたって、そろそろ出勤率を算定しないといけない時季だなあ。そういえばAさん、出勤停止処分を受けていたけれど、この期間ってどう取扱えばいいんだろう?
**
次年度の年休付与の要件には、前1年間における「全労働日の8割以上の出勤率」があります。
そのため、会社としてはこの出勤率を算定するにあたって、出勤とみなされる日、全労働日から除外される日をきちんと把握しておく必要があります。(出勤率が8割を切ると次年度の年休付与がゼロになってしまいますから大事なミッションなのです)。
とはいえ、出勤停止期間を取り扱うことが過去になかったため、面食らう人事担当者さんです。
そこで今回は、年休の発生要件にかかる出勤率の算定で出勤停止期間をどのように取り扱うのか、詳しく確認していきたいと思います。
うちに総合職で入社すると、仕事の責任と成果を求められるし転勤の可能性もあるので、一般職と比べると給与は高い。なのに、ある総合職の社員に転勤を打診するとイヤらしい。示しがつかないし、一般職より高い基本給の差額を会社に返してもらうことにしようか?
**
転勤ができないような事情(本人や家族の健康面など)がないにも関わらず、転勤を拒否する総合職の社員に戸惑いを隠せない上司です。
総合職には転勤を含めたジョブローテーションでキャリアを積んでもらい、会社を支えるコア業務を担ってほしいからです。そのため、転勤命令拒否に対してペナルティーを与えるか?との案が出ましたが、給与の一定額を返還させるのは有効なのでしょうか。
そこで今回は、転勤命令拒否に対して会社が行う処分について、詳しく確認していきたいと思います。
病気で休職していたAさんが職場復帰することになった。でも仕事の量や内容がプレッシャーになって、せっかく戻った体調が悪くなっては元も子もない。会社としてどんな配慮をすればいいんだろう?
**
私傷病で休職していた部下が復職することになり、仕事面でどんな配慮をするとよいのか頭を悩ませる上司です。とはいえ気を遣いすぎて、本人に引け目を感じさせたり、やる気を失わせてしまうのもよくないし・・・との思いがあります。
こんなとき法律面では、会社には安全配慮義務があるので、業務上の負荷により復職した社員の健康状態が損なわれないよう、業務面でさまざまな配慮を行うことが求められます。
そこで今回は、私傷病で休職していた社員が職場復帰するとき、会社に求められる配慮について詳しく確認していきたいと思います。
うちの就業規則では、出勤停止について「7営業日以内で懲戒事由によって日数を決める」ことになっている。その都度、出勤停止の日数を決めるのは時間や労力がかかってしまうから、一律の日数にしてはどうだろう。・・・問題あるのかな?
**
就業規則の見直しにあたって、時間や工数のかかる社内の手続きも検討することにした人事担当者さん。懲戒規定の内容も見直しの対象にしようかと考えています。
とはいえ、懲戒(出勤停止もそのひとつ)は解雇と同様に労働条件に含まれるため、労働条件の変更にあたります。ここは慎重に検討したほうがいいよな・・・と、はやる気持ちを抑えるのでした。
そこで今回は、出勤停止を一律の日数にしていいのか、詳しく確認していきたいと思います。
人件費の削減に迫られる中、できる限りよそで雇用維持してもらえるようサポートしたいので、関連企業や取引先と交渉して、転籍を実施することになった。対象の社員たちに退職金を上乗せ支給して退職してもらったが、そのうちのひとりが転籍先の面接で断られてしまった・・・
**
在籍出向ではなく転籍出向というかたちをとったものの、転籍を予定していた企業から採用を拒否され、対応に戸惑う元の会社の人事担当者さんです。
転籍先での受入れがかなわなかったので、退職金も支払ったものの、元の会社からの退職(労働関係の解消)は認められないことになるのでしょうか。
そこで今回は、転籍先企業と労働関係が成立しなかったときの会社(転籍元)のとるべき対応について詳しく確認していきたいと思います。
上の方針で、海外支店で現地採用した社員を国内本社に3年間異動させることが決まったそうだ。あとは人事部で対応よろしく、ということだけど、どんなことをすればいいんだろう?
**
海外支店の外国人社員が国内本社へ異動してくることが初めてなので、何から手を付ければいいのか戸惑う人事担当者さんです。
外国人の方は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)で定められている在留資格の範囲内において、日本での活動が認められています。まずは、異動の対象となる外国人社員について、その社員の職歴や学歴から利用できる在留資格があるかを確認しなければなりません。
そこで今回は、海外支店の外国人社員の国内本社への異動で会社がとるべき対応について詳しく確認していきたいと思います。
うちの社員に出向先での横領疑いが浮上した。少なくない金額なので、出向先企業はこの出向社員の身元保証人に対して損害賠償を請求するかもしれない。・・・とはいえ出向先でのトラブルであっても、身元保証人は責任を問われるのだろうか?
**
身元保証契約は、社員本人との契約ではなく、身元保証人と会社との契約です。内容は、その社員が会社に損害を与えた場合に身元保証人がその損害を賠償するというものです。
そのため社員を採用する際に、多くの企業では身元保証契約書を求めますが、身元保証人にはどこまで(出向先でのトラブルも?)責任が問われるのでしょうか。
そこで今回は、出向における身元保証人の責任について詳しく確認していきたいと思います。
就業規則の違反行為がわかった社員に対して、減給処分が決定した。懲戒規定に則って減給の処理を行うも、エエッ、最低賃金を割っているじゃないの(゚Д゚;)これってマズくない?
**
労基法では減給の制裁について、減給の最高限度が定められています。その限度とは、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」となっています。
この決まりを守って減給すると、給与額が最低賃金を下回っていた・・・法律違反では?とドキドキする給与計算の担当者さんです。
そこで今回は、減給の制裁で最低賃金を割ると最低賃金法違反になるのか、詳しく確認していきたいと思います。
うちの部には育児中で短時間勤務の社員がいる。実は今、うちは空前の繁忙期。ありがたいこととはいえ手が全然回らない。短時間勤務の社員にも残業命令を出したいのがホンネだけど、法律的にダメだよなあ・・・(;´Д`) (営業部 課長談)
**
育児・介護休業法では、3歳未満の子を養育する社員で一定の要件を満たす者は、その希望により短時間勤務の適用を受けたり、残業を免除してもらうことができるようにしています。
社員にとっては仕事と育児のバランスが取りやすくなる制度ですが、冒頭の例のように、急な受注量増で対応にてんやわんやの時などマンパワー不足に悩む上司の方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、育児短時間勤務の社員に残業を命じることはできるのか、詳しく確認していきたいと思います。
社員のCさんが通勤経路を変更したのに会社に申告しないで、本来よりも多い額の通勤手当を5年間不正受給していたことが判明した。差額は1か月あたり2千円くらいだったようだが、やはりこれは懲戒解雇を検討しなくてはいけない案件なのでは・・・
**
通勤手当の不正受給が、就業規則に定める懲戒規定の「重大な虚偽の届け出または申告を行ったとき」にあたり、懲戒解雇にするべきでは(ほかの社員に示しがつかない)・・・ということで判断に迷う会社側。
通勤手当の支給について、社員の自己申告による(自宅から会社までの経路を本人が申告する)場合、こういったトラブルが起こりがちです。
そこで今回は、通勤手当の不正受給で懲戒解雇にして問題はないのか、詳しく確認していきたいと思います。
生理休暇は法律上無給でも問題ないとのことだけど、有給扱いにしようかとの案が社内で出ている。でも、事後に「年休取得日を生理休暇に振替えてほしい」との申出が社員からあったとしたら、会社はそれに応じないといけないのかな?
**
生理休暇の有給化にあたって、もし年休から生理休暇への事後振替を認めることになれば、「3日間の年休中に生理日が来たので振替えてほしい」といった申出にも応じないといけない・・・少し違和感を覚えて、心配になってしまう人事担当者さんです。
そこで今回は、あらかじめ年休日になっていた日でも事後申請で生理休暇に振替えないといけないのか、詳しく確認していきたいと思います。
部門の縮小で整理解雇することになった。事業の再構築のため特別な専門分野の人材を早く採用したいけれど、整理解雇してすぐは法的にマズイんじゃないか。整理解雇が無効になってしまうかも・・・?
(メーカー勤務、新規プロジェクトマネジャー 談)
**
整理解雇とは、事業活動の縮小や再構築により生じる余剰人員に対して行われる解雇のことをいいます。
整理解雇が有効であるには「人員削減の必要性」が求められますが、人減らしのために解雇を実施するのに、すぐに採用活動を行うと「人員削減の必要性がほんとうにあったの?」と法的に問われるのでは・・・というのがマネジャーの悩みです。
そこで今回は、整理解雇のあとすぐに新規採用を行うとその解雇は無効になるのか、詳しく確認していきたいと思います。
先日の雨で店舗の屋根が経年劣化していることが判明。1日だけ臨時休業して修理することになった。社員には休業手当を支払う予定だけど、その日に年休を申請している人がいる。別の日に年休日を変えてもらったほうがいいのかな? (カフェオーナー 談)
**
お店が臨時休業の日にあえて年休をとっても仕方がない、社員にとって勿体ないんじゃないか?と気をもむオーナーです。
あらかじめ年休が申請されていた日に臨時休業することになった場合、会社として年休の時季変更権を行使できるのか、というのがこのお悩みのキモとなります。
そこで今回は、休業とした日に事前に年休申請が出されていた場合、会社としてどう対応するべきか、詳しく確認していきたいと思います。
「衛生管理者のAさんが長期入院することに(゚Д゚;)療養を含めると半年は出社できないって。衛生管理者がそんなに不在ってマズいよね?すぐに資格なんて取れないし、どうしよう?」
衛生管理者は、安衛法において、業種にかかわらず常時50人以上の社員を雇用する職場(企業単位ではなく支店や工場、営業所などの単位)ごとに選任することが義務付けられています。
社内に衛生管理者はAさんしかいないので、突然の入院で衛生管理者の定期業務も滞ってしまいます。また、こんな状況でもし何かトラブルがあれば、会社に法的な責任が問われる一因になるかもしれません。
そこで今回は、代わりのいない衛生管理者が長期間会社を休む場合に会社がとるべき対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「即時解雇にするために解雇予告手当を支払おうとしても、社員が受け取り拒否したら会社は解雇できないの?」
勤務態度が悪い、無断欠席を繰り返すといった場合には、懲戒解雇の事由として就業規則に定められているのが一般的です。
懲戒解雇の場合、即時解雇にするなら解雇予告手当の支払いが必要となります。
ところが「(解雇予告手当を)受け取ったら解雇になるから受け取りたくない」と社員が受領を拒否してきたのなら、会社は解雇できないのでしょうか。
そこで今回は、社員が解雇予告手当の受領を拒否した場合に会社がとるべき対応について、詳しく確認していきたいと思います。
Aさんから年休届が出ている・・・あれ、Aさんは育児短時間勤務中だから年休日の給与額はどうなるんだろう?(人事部の新人Bさん談)
**
会社は、3歳未満の子どもを育てる社員が希望すれば利用できる、所定労働時間を短縮する制度(原則として1日6時間)を設けなければなりません(育児・介護休業法23条)。
勤務しなかった期間(時間)について給与を支払わないことは差し支えないとされており、AさんとBさんの会社では短縮時間相当分を控除していますが、年休取得日についてはどうすればいいのか・・・と戸惑うBさんです。
そこで今回は、育児短時間勤務中の年休日の給与についても欠勤控除を行ってもいいのか、詳しく確認していきたいと思います。
今年から評価者としてメンバーの人事評価をやることになった。「これはあなたの主観的な評価であって、正当な評価じゃありません、こんなの人格否定です」なんてメンバーから言われてしまったら、どうしよう。そもそも、人が人を正確に評価できっこないよ・・・。
**
人事評価にプレッシャーを感じて憂鬱そうなチームリーダー、みんなから反発を受けて人間関係にヒビが入ると、今後の仕事に差し障りが出るかもしれないからです。
そして「人が人を評価することは、不当に人を言いなりにさせることにつながり、人格権を侵害するので違法だ」といった主張に対して、どうも自信が持てないようです。
そこで今回は、人事評価は人格権を侵害するものでなく、人を貶めるものではないということを法律目線で詳しく確認していきたいと思います。
「今年の冬は新型コロナウイルスや季節性インフルエンザとか感染症がはやるかも、って聞きましたけど、感染症で会社を休んだら休業手当の対象になるんですか?」
「・・・・えっ??(;・∀・)(そんな制度あるの?)」
感染症の流行に備えようとする、部下からの突然の質問に戸惑いを隠せない上司です。
会社の責めに帰すべき事由(会社都合)による休業の場合、社員は働くことができないので、その休業期間中の社員の生活を保護するため、会社が社員に対して休業手当を支払わなければなりません。
とはいえ、様々な感染症がいつどんなときでも「会社の責めに帰すべき事由」に該当し、休業手当の対象となるのでしょうか。
そこで今回は、社員が感染症で会社を休んだ時に、会社に対して休業手当の支払義務が生じるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「なんで会社は職場のセクハラ問題を放っておいてはダメなの?単に人間関係の相性が悪いとか、本人同士の問題っていうこともあるんじゃないの?」
管理職のAさん、セクシュアルハラスメント(セクハラ)が社会的に許されない行為であることはもちろん理解していますが、どうも腑に落ちない様子です。
男女雇用機会均等法では会社に対してセクシュアルハラスメント(セクハラ)防止の措置義務が課せられていますし、会社には職場環境の適正良好保持義務が判例上認められています。
つまり、セクハラ問題で会社に損害賠償義務が生じるケースもあり得るということです。
そこで今回は、なぜ会社が職場のセクハラ問題に取り組まないとマズイのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
うちの部で就業規則の違反行為が疑われている。所属部員に対して会社側のヒアリングがあって、次は私の番だ。でも同僚の悪いことは言いたくない。刑事ドラマの取調べシーンみたいに黙秘権をつかってダンマリを決め込もうか・・・
**
社員が就業規則の違反行為を犯したおそれや疑いのあるときは、所属長やその他の管理者にはその事実確認や関係者から事情をヒアリングするなどの調査権限があります。会社としては、企業秩序を維持しなければならないからです。
問題は、所属長等はどこまでこの調査権限を行使でき、一方の社員はどこまでこれに応じる義務があるのかということです。
そこで今回は、就業規則の違反行為にまつわる調査権限について詳しく確認していきたいと思います。
「タクシーの運転手はみなし労働時間制の対象外だから、営業担当が社用車で得意先を回るのもホントは適用しちゃダメなのかな(;゚Д゚)?」
タクシーの運転をはじめ運転そのものが業務の場合は、事業場外労働のみなし労働時間制の対象とはなりません。
では、営業社員が会社の自動車を運転して担当の顧客を訪問したり、出張に赴く場合はどうなるのでしょうか。通常の営業業務とは別に、自動車の運転業務がプラスされるのはその通りなのですが・・・
そこで今回は、会社の自動車を運転して営業活動や出張に出かける場合、事業場外労働のみなし労働時間制の対象となるのかについて詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社では、コレコレこういうルールでこうやっているの。早く慣れてね(^^♪」
10月に中途入社したばかりのAさん、職場の先輩からいろいろ説明を受けているところです。ただ、「職場のルール」について前の会社とはずいぶん違う点もあり戸惑っています(新卒で入った会社のルールを「常識」だと思っていることは多いですよね)。
このような「職場のルール」、実際上の取扱いが職場や会社との関係において、規範化し法的な拘束力が問題となるものをいわゆる「労働慣行」と呼びます。
そこで今回は、労働慣行として法的効力が認められるのはどんな場合なのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「会社が解雇するとき“あなたを解雇します”っていう意思表示が本人に到達しないと効力は発生しませんよね。そのとき解雇の理由も伝えないと無効になっちゃうんですか?」
「・・・・・ウッ(;゚Д゚)」
人事部に配属されて半年たったBさん、知識も増えてきたので質問攻めに合う先輩はタジタジです。
Bさん曰く、注意を繰り返しても勤務態度など全く改善されないので解雇という事態に至ったのに、「あなたのこういうところが悪いからですよ」と理由まで通知しなければならないのなら相当骨の折れるミッションだ・・・と感じたとのこと。
そこで今回は、解雇理由を本人に通知しなければ解雇の効力に影響を与えるのか、詳しく確認していきたいと思います。
いくら注意しても勤務態度が改まらない社員に、こっちがギブアップしそう。解雇も視野に入れるべきレベルだと思うけれど、就業規則の解雇事由にある「勤務態度が著しく不良」ってどのくらいのことをいうの? (新人が配属された部署の上司 談)
**
社員側の事由による普通解雇の解雇理由としては、勤務成績や勤務態度等の不良、精神又は身体の疾病又は障害、職務上の命令違反、無断欠勤や職務懈怠その他の職務上の義務不遵守、経歴詐称、職務上又は職務外の非違行為・・・などを理由とするものがあります。
解雇は社員の生活に与える影響が大きいため、「勤務態度の不良」といっても主観的であってはいけないと悩まれる上司の方も多いようです。
そこで今回は、勤務成績や勤務態度不良による場合の解雇事例について、詳しく確認していきたいと思います。
販促キャンペーンがあるたびに、うちの営業部員をスーパーやデパート、大型量販店に“派遣”している。ある部員に「人材派遣とうちの店員派遣はどう違うんですか?」と聞かれたけれど、そういえばどう違うんだろう? (メーカー勤務 営業部リーダー談)
**
自社製品の販売促進のための店員、宣伝要員、説明員として、代理店など他社の職場で他社の社員と混在して働く・・・というのは、セールやフェアなどの機会でよくあるでしょう。とはいえ、人材派遣との違いを問われても返答に詰まることも多いかもしれません。
社員の「派遣」とひとくちにいっても、その態様や形態はいろいろあるので、単なる言葉づかいだけで区別できないからです。
そこで今回は、店員派遣・代理店派遣と労働者派遣との差異について、詳しく確認していきたいと思います。
この部署ではプロジェクトが完了するまで出向社員、派遣社員、そしてうちの社員が一緒になって働いている。よその会社から来てもらっているのは出向社員も派遣社員も同じだけど、法律的には全然違うのでマネジメントに気をつけるように、と人事部からお達しが。・・・具体的にはどう違うの? (プロジェクト推進リーダー 談)
**
出向とは、第三者の会社に出向元の人事異動により派遣されて第三者(出向先)のために働くものですが、見た目としては人材派遣と類似している面があります。
ですが、出向と労働者派遣とは根本的に違うものなので、人材マネジメントのあり方もおのずと異なってきます。
そこで今回は、出向と労働者派遣との人材マネジメント上の具体的な違いについて詳しく確認していきたいと思います。
「在職中に知り得たうちのノウハウや機密をよそへ漏洩しないでね」「うちと競合する企業や組織に属したり、自分で会社を作ったりするのはやめてね」
・・・社員が会社を辞める時に口頭で合意をとっているけれど、これって何かあったときにも有効なのかな??(SOHO 人事担当者 談)
**
退職時の手続きで、「秘密保持義務」「競業避止義務」について口頭で誓約をとっているものの書面化はしていないので、果たして秘密保持、競業避止義務が成立しているのか、ふと気になる人事担当者さんです。
きちんと書面にして誓約書などを取り交わすべきなのでしょうか?
そこで今回は、秘密保持義務、競業避止義務について会社を辞める社員との口頭での合意は有効なのか、詳しく確認していきたいと思います。
資材搬入のため2時間の早出出勤を若手に指示したが、なんと遅刻してきた( ゚Д゚)
「いつもの出勤時刻には間に合ったからセーフですよね?」と悪びれずに聞いてきたが、給与カットの対象なんかにはならないの?
(メーカー勤務 資材部課長 談)
**
「反省はないんかいっ(怒)」という言葉をグッと飲み込んで、早出の時刻に遅刻してきた場合の対応について考えを巡らす課長です。
給与カットやペナルティーを科すには法律的に問題があってはいけませんし、遅刻の理由を聞いて根本原因を解決しない限り、繰り返されるのではとの思いもあります。
そこで今回は、早出出勤に遅刻した場合の給与カットや懲戒処分について詳しく確認していきたいと思います。
うちの就業規則には、懲戒の項目に「諭旨解雇」というものが書いてある。「懲戒解雇相当の事由で本人が反省しているときは退職届を提出するよう勧める」とのこと。ん?どういうこと?反省すればフツーの退職扱いになるの?
**
多くの会社の就業規則において、諭旨退職や諭旨解雇という懲戒処分制度が定められていると思います。
諭旨解雇は懲戒解雇よりもワンランク軽減した解雇処分ですが、「懲戒処分とどう違うの?」「処分を一段階軽くすることに意味はあるの?」など、「結局どういうこと(;・∀・)?」とギモンに思われることは少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、諭旨解雇とはどういうことなのか、懲戒解雇とはどう違うのかについて詳しく確認していきたいと思います。
「育児中の社員には転勤への配慮が必要らしい。転勤させるのはダメなの?転勤の多いウチの部署には若手が多いから大変だ・・・( ゚Д゚)」
子育て社員には、会社として育児休業制度や母性保護への配慮はもちろん必要です。ですが転勤の問題は性別を問わずに発生することなので、会社組織に属する一員として、基本的に社員には転勤に応じるスタンスが求められることになります。
では、育児・介護休業法によって会社に求められる「社員の配置(転勤)に関する配慮」とはどのようなことをいうのでしょうか。
(育児・介護休業法に規定されているため、対象は子育て&家族の介護を行っている社員です)
そこで今回は、子育てや家族の介護をしている社員に対する転勤への配慮について詳しく確認していきたいと思います。
先日まで課長と海外出張に行ってきた。アポのキャンセルや変更、打合せ場所の確保が難航するなど、連日トラブルで遅くまで仕事だった。当然残業代がつくだろうと思っていたら、課長曰く「海外出張はフツウ残業の対象じゃないはずだよ」とのこと。ウッソ、時差があるからなの?(;´Д`) (総合商社勤務 若手社員 談)
**
慣れない海外出張から戻ってきたところ、海外での残業は手当の対象にならないはず、と聞いてショックを隠し切れない若手社員。
とはいえ、海外出張では労働時間の配分などは本人まかせになる(現地でのミッションを臨機応変にこなさないといけないので)ため、実際に働いた時間の把握が困難なのもまた事実です。
そこで今回は、海外出張中の時間外労働を会社はどのように扱うべきなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「足元の業績が好調で、転職したい社員を手厚くサポートできる状況なので、希望退職を募ることになった。もし当初の募集人数よりも応募があったらどうしよう?退職を引き留めればいいのかな?」
中長期的な経営方針で組織の若返りを図ることになり、一定の年齢以上の社員を対象に希望退職をはじめて募集することになったA社さん。
応募者に対して、退職金の割り増しや再就職支援などの優遇措置を考えているため、希望退職をうまく活用してキャリアの伸展を考える社員が予想以上に多かった場合、会社としてどのように対応すればよいのか、判断に悩まれています。
そこで今回は、希望退職で募集人数を超える応募があった場合にとるべき会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
遅刻ばかりする社員に何度注意しても反省の色がない。減給の制裁を行うことになったが、遅刻の回数があまりに多く、給与計算の担当者から「毎月ミスしないかヒヤヒヤするので賞与でまとめて減給するのはダメなんですか」との声が。そのほうがいいのかな・・・
**
事務処理を滞りなく進めるため、労基法で厳しく制約されている「減給の制裁」を賞与でまとめて行ってもいいのかな?と判断に迷う人事課のリーダーです。
本人に原因があるとはいえ、減給の制裁は社員に対する経済的なダメージが軽いものではないので、事務の効率を優先させていいのか、との疑問があるためです。
そこで今回は、事務処理の効率のため減給の制裁を賞与でまとめて行ってもいいのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「営業職、現場職、事務職ではそれぞれ仕事内容が違うから、新人の職場や仕事に慣れるペースが同じはずがない。それなのに試用期間の長さが一律でいいのかな?職種別に試用期間の長さを設定するほうがいいんじゃないの?」(メーカー勤務 営業課長 談)
試用期間は新入社員が仕事や職場にうまく適用できるのか、向き不向きの判定を行うとともに、教育を行う期間でもあります。
試用期間では冷静なジャッジメントも必要ですが、新人を職場や仕事になじませることも大切なので、仕事内容を考えないで試用期間の長さが同じでいいのか?とギモンを覚える課長さんです。
そこで今回は、試用期間の長さを職種別に設定しても問題ないのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「社内には年休をよく取る人もいれば、ほとんど取らない人も。よく休む人にも5日の年休を取らせる義務が会社にはあるんだっけ?“基準日から1年ごとに5日取得させる”って、4月1日入社だといつから1年になるの??」
人事部に異動してきたBさん、先輩の指示で社内の年休の取得状況をチェック中ですが、疑問が浮かんできては作業の手が止まります。
労基法の改正で会社に年休の5日付与義務が課されることになりましたが、Bさんのようにふとギモンを覚えることはありませんか。
そこで今回は、下記の2点を詳しく確認していきたいと思います。
営業部のA課長は妊娠中。でも担当のプロジェクトが山場を迎えているようで、先日も深夜まで仕事をしていたらしい。責任感があるのは頼もしいけれど、本人の身体が心配なので人事部としてストップをかけようか・・・(中堅の人事担当者 談)
**
労基法では母性保護の観点から、労働時間等に関する制限が規定されています。妊産婦(妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性)に対する労働時間等の制限は、あくまで本人から申し出があってはじめて会社に実施する義務が生じます。
では、妊産婦が管理職である場合はどのように考えるべきでしょうか。そもそも管理職には、労基法が定める労働時間、休憩、休日についての規定が適用されないからです。
そこで今回は、妊産婦である管理職が深夜残業をしている場合の会社がとるべき対応について詳しく確認していきたいと思います。
うちの工場は最寄り駅から遠い。送迎バスを導入しようか、ん?会社の専用交通機関だから乗車している時間は労働時間になるのか?それなら、同じ方面から通勤する社員はマイカー通勤者に便乗すれば労働時間にならないのかな・・・(メーカー勤務 人事担当者 談)
**
労基法の規制する労働時間とは、「会社の指揮命令下で仕事をしている時間」をいうので、「会社の提供する」専用交通機関(送迎バス)を利用している時間は労働時間にあたるのか?とギモンの人事担当者さん。
送迎バスの時間が労働時間になるなら、わざわざ送迎バスを導入しなくてもマイカー通勤者に便乗するよう割り当てると問題は発生しない、と考えていますが、果たして・・・?
そこで今回は、会社の送迎バス乗車中は労働時間になるのか、またマイカー便乗についてはどう考えるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「転職先の会社の利益のために、うちの会社の機密情報が利用されるなんていることがあっては困る。うちとの競合企業への転職は就業規則で禁止することにしようか・・・」
キャリアアップのための転職を理解しながらも、会社の製品の製法や営業上の秘密を知っている社員が同業他社に転職することで、それらの情報が洩れたりしないだろうか・・・と心配な経営者や管理職。
そんなことになれば、これまでのみんなの開発努力が水の泡になってしまうからです。
そのため、競合する同業他社への転職を禁止することは会社として当然できるものと考えられがちですが、法律的には「合理的な範囲内なのかどうか」が問われることになります。
そこで今回は、退職後の同業他社への転職禁止が有効なのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
先ほどAさんが担当の取引先から苦情の電話があった。本人は月末に退職するので今は残りの年休を消化中、退職日まで出社してこない。後任のBさんに聞いても引継ぎが曖昧だったようで対応できない。年休中のAさんを呼び出すのはコンプライアンス的にマズイのだろうか・・・
**
トラブル対応のため、退職予定で年休消化中の社員に出社を求めたいものの、「退職日が近いのに年休を消化できないなんて権利侵害だ!」との反応だったら・・・と迷ってしまう上司。
確かに、退職予定日以降に年休を与えることはできませんし、退職日が迫っているのでは時季変更権の行使もできません。では、トラブル真っ只中の顧客対応はどうすれば・・・(;´Д`)
そこで今回は、退職予定で年休消化中の社員を出社させていいのか、詳しく確認していきたいと思います。
「定年退職、自己都合退職、懲戒解雇、整理解雇・・・どれも会社を辞めることには変わりないのに、こんなに種類があるの?そもそも退職と解雇は法律的にどう違うっていうの?」
人事部に異動してきたBさん、先輩からのススメで自社の就業規則を読み込もうとするものの、退職をめぐる用語の多さに頭がグルグル・・・\(◎o◎)/!
社員が会社を辞めるとき、それが「退職」にあたるか「解雇」にあたるかは、法律上大きな違いがあるため、会社のとる対応にはえらく差が生じます。
特に解雇の場合は、いろいろな法的な制限があるので注意する必要があります。
そこで今回は、退職と解雇はどう違うのか、またそれぞれどんな種類があるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「もうすぐ6年目になるパート社員がいますが、無期転換の申込があっても断れますか?」
該当するパート社員さんはここ1年ほど体調を崩しがちなので、無期転換後の仕事内容に耐えられるのかな・・・と心配している店長さんです。(この会社では無期転換後に職務内容と労働条件の変更があるようです)
有期労働契約が会社との間に継続して、通算した期間が5年を超えた6年目に無期転換申込権が発生しますから、会社としては差し迫った問題です。
健康状態を優先してもらうためにも、法律的に無期転換の申込を拒否できるのかについて把握しておきたいというのはよくわかります。
そこで今回は、6年目のパート社員から無期転換の申込があったときに受理しないことができるのか、詳しく確認していきたいと思います。
産後8週間よりも前に仕事に復帰したい、と医師の診断付きでママ社員からの申出。家族の協力もあるので、年休を利用しながらやっていきたいとのこと。最短で職場復帰したい社員を会社としても応援したいが、本来ならまだ産後休業中なのに年休って取れるものなのかな?
**
産後復帰について相談を受けたワーママの上司ですが、産後休業と年休の扱いについて判断に迷っています。
本来なら産後8週間を経過しない女性は就業禁止となっている(産後6週間を経過した女性が請求した場合、医師が差し支えないと認めた業務に限って就業可能)ので、年休を申請する余地があるのか?との疑問があるからです。
そこで今回は、産後6週間経過で職場復帰したときの年休申請の扱いについて、詳しく確認していきたいと思います。
今月もノルマの達成が無理そうな部下がいる。チームとしての数字が達成できないと、部下の指導がなっていないと自分の評価が下がってしまう。社会人なんだから仕事は自己責任でしょ。なんで上司がそこまで面倒みなきゃいけないの、法律とかで決まっているの?
(システム会社営業部 リーダー職 35歳 談)
**
チームに仕事の遅い人がいて、どうやら煮詰まっている様子のリーダーです。部下をもつと、仕事の指揮監督とともに日常の人材マネジメントが任せられるので、ストレスが溜まるのもわかります。
ただ、上司として自分の法律上の地位や権限、負っている義務について理解していないと、トラブルが生じることもあります。
そこで今回は、なぜ上司が部下を教育・指導しないことが問題になるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「Aさんには役職手当が支給されているので、残業代の対象外でいいですよね?」
こんなギモンを持つことは多いかもしれませんが、判断は慎重にまいりましょう。というのも、役職手当(部長・課長・係長などの役職に伴う手当。役付手当とも)の受給者イコール管理監督者ではないからです。
その役職の会社内における地位、責任と権限などからみるとともに、その地位にふさわしい給与面の待遇を受けているかどうかなど、実態から判断しなくてはなりません。
(管理監督者ではない、という判断になれば残業手当を支払う必要があります(゚д゚)!)
そこで今回は、役職手当と管理監督者の関係について詳しく確認していきたいと思います。
「毎週月曜日は始業の9時から定例会議をやっているのですが、参加メンバーのフレックスタイム社員がこの頃毎回サボるようになり、会議の雰囲気も悪くなって困っています」
半年前から営業部でフレックスタイム制を始めたところ、残念なことに自分勝手に振る舞う人が出てきてしまいました。
こんな社員には注意するのが当たり前というところですが、「フレックスタイム社員にコアタイムでもないのに時刻指定で勤務を命じていいのか?」との疑問から、強く言って法律違反にならないのだろうか・・・と判断に迷う上司の方の心情もわかります。
そこで今回は、定例会議を毎回サボるフレックスタイム社員に会社としてどのように対応すべきなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「営業部は変形労働時間制ですが、働くママには適用しちゃダメですよね?!あれ、でもAさんは小さいお子さんがいるワーママなのに変形勤務で働いている・・・?」
人事部に異動してきたBさんはキラキラした瞳で先輩を質問攻めですが、一方の先輩は当惑したような顔で・・・。というのも、Bさんの知識が少々ごっちゃだからです。
変形労働時間制がとられる場合にも、妊産婦が請求した場合には適用制限がありますし、育児や介護をしている社員には育児などに必要な時間をとれるよう配慮しなければなりません。
「その点では、働くママと変形労働時間制の関係について考えてみていいかも・・・」と新人さんへの指導を前向きに考え始めた先輩です。
そこで今回は、妊産婦・育児・介護社員等に対する変形労働時間制の適用について、詳しく確認していきたいと思います。
「仕事が終わった後に、会社が薦めるWEB学習をやっていますが、残業代申請の対象になりますか?何本も教材をこなしたので、結構な時間になるんですけど・・・」
新型コロナウイルス感染症対策のため、対面での研修や教育などが制限されたことをきっかけにWEB学習(eラーニング、オンライン研修)を導入した企業もあるでしょう。
インターネット環境が整っていれば、パソコンやタブレットを用いて時間や場所を問わず学べるのがWEB学習のメリットのひとつですが、会社としては冒頭のような社員からのギモンにきちんと答えられるようにしておきたいものですよね。
そこで今回は、WEB学習は労働時間としてカウントされて終業後の学びの時間は残業代の対象となるのか、詳しく確認していきたいと思います。
「パート社員にも健康診断を受けてほしいが、今まで対象外だったのになんで受けないといけないのか、と拒否する人もいてどう対応すればいいのか・・・」
社員の健康管理ができていなくて、仮に労災でも発生したら大変です。
会社には安全配慮義務がありますが、これを怠ったため労災が発生すると、労災保険だけでなく民法上の損害賠償義務が生じます。
そのため会社の方針として健康診断の対象を全社員にしたものの、受診したがらないパート社員に対して、法律上では受診の対象ではないのに受診を義務づけてもいいのだろうか?と悩んでしまう人事担当者さんなのでした。
そこで今回は、健康診断を受けたがらないパート社員への会社の対応について、詳しく確認していきたいと思います。
「6年目のパート社員から無期転換の申込みがなく、契約期間の満了日も近いのに手続きを進めようもないのでヤキモキしています。今後のことを考えて、無期転換の申込期限を設けるのはダメですか?」
会社としては人員管理のため後任者の採用なども考えないといけないので、滞りなく仕事を回すためにもいつまでもこのパート社員の意思表示を待っていられない・・・というのがホンネでしょう。
とはいえ、法律上6年目の契約期間満了日まではいつでも無期転換の申込ができることになっていますし、申込をするかどうか、またいつ申込を行うのかは、本人の自由となっています。
そこで今回は、無期転換の申込期限を設定することに法律的に問題がないかどうか、詳しく確認していきたいと思います。
4月1日発行の、「近代中小企業」4月号(2023年4月1日発行)に寄稿しました。
「近代中小企業」4月号では、「インフレに向けた与信管理」「人事・採用の最前線」とのテーマで2大特集企画が組まれています。
わたくし高島は、「人事・採用の最前線」特集企画において、タイトルを「共働き夫婦の悩みを解消する残業命令の出し方!」として、4ページ記事を書かせていただきました。
いまや女性の経済的自立と男性の家庭進出は、時代の要請です。
社会や仕事の環境、家族の状況が変わった時、夫と妻の役割を分離していると柔軟に対応できないからです。
そこで収入、家事、育児などを夫と妻で分担するときのいちばんの不安材料となるのが「残業問題」ではないでしょうか。
景気後退で一部の部門で人員を削減し、事業を縮小せざるを得ない局面だ。だが、今いる社員には生活がある。まだ社会人になっていない採用内定者の内定取り消しをまず行うのはどうだろうか・・・
**
既存社員の整理解雇を行うより、内定取り消しを行うほうが経済的なダメージは少なく、人員整理が比較的緩やかに進むのでは・・・と頭を悩ます経営幹部。
とはいえ、景気悪化時を乗り越えて会社の再建に向かうとき、将来を担う若手社員がいないのでは企業の経営は立ち行かなくなるおそれが考えられます。また、法律面で採用内定の取消しには慎重を期する必要があります。
そこで今回は、事業縮小や人員整理を理由とする採用内定の取消し問題について詳しく確認していきたいと思います。
「うちの就業規則では、“懲戒解雇の場合は退職金の全部または一部を支給しない”と書いています。逆にいうと、悪いことをしても退職金をもらえるかもってことですよね?」
悪いことをして辞めさせられる社員に退職金が出るのなら、周りに示しがつかないのでは・・・と、ご相談をいただくことがあります。
心情的によくわかりますが、退職金の全額没収(全額不支給)については運用に注意が必要です。
というのも、就業規則などで退職金の支給について明白に定められていると、退職金は賃金にあたるからです。労基法では、賃金について種々の保護規定が設けられているので、会社は冷静な判断が求められます。
そこで今回は、懲戒解雇による退職金の不支給は認められるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「なんでうちは他所みたいに毎年給与が上がらないんですか、違法じゃないですか?」と社員から不満の声。法律的なことも含めてちゃんと説明しないとなあ・・・
**
あちこちで賃上げや初任給の額について見聞きすると、「うちの会社はどうなんだろう?」と期待する社員。一方、会社としてはその期待に応えたいものの、経営を続けていくためシビアに判断しなければならないので、社員への説明の仕方に頭を悩ませていて・・・。
定期昇給やベースアップが法律的に義務付けられる場合もありますし、また定期昇給とベースアップは法律的に異なっていますから、法律面を押さえておくことは大切です。
そこで今回は、定期昇給やベースアップは必ず行わないといけないのか、また賞与についても毎年支給しないといけないのか、お金関係をまとめて確認していきたいと思います。
「パート社員の前の有期労働契約と次の有期労働契約期間との間に、契約のない期間があっても契約期間は通算しないといけませんか?」
無期転換の申込とは、5年を超えて有期労働契約を継続更新した場合には、その働き手の申し込みよって、雇用期間の定めのない労働契約に移行するものです。
つまり、有期労働契約が会社との間に継続して、通算した期間が5年を超えた6年目に無期転換申込権が発生します。契約の通算の仕方がとても重要になってくるので、冒頭のようなご相談をいただきます。
このような「契約の空白期間」については法律で定められており、クーリング期間といいます。
そこで今回は、無期転換申込権に大いに関係するクーリング期間について詳しく確認していきたいと思います。
前の総務部長が退職したので、後任として職務にあたることになった。バタバタの引継ぎだったが、「戸棚の書類をみれば大丈夫」だって。
どれどれ・・・ガチャ。(←キャビネットの扉を開ける音)
はいはい、これが就業規則の原本ね。ん?職場代表の意見を聴いてないし、労基署へ出した形跡もないっっ?!これ絶対ダメなやつ!!
**
就業規則はその作成、変更の都度、労基署に届け出なければならない旨が労基法に定められています。
では、就業規則を作成したものの労基署への届け出をサボっていた場合はどうでしょうか。有効なものとして扱われるのでしょうか。
そこで今回は、労基署に届出ていない就業規則はそもそも有効なのか、またあわせて職場代表の意見を聴いていない、社員に周知していないときはどうなのか、について詳しく確認していきたいと思います。
当社のパートさんは3か月更新で来てもらっている(更新手続きは「来月もよろしく」「はい」であやふやだったが)。だが、このご時世で経営が悪化、やむなく辞めてもらうことになった。
今回の更新が最終回であること、残りの年休は全部使ってほしいこと、感謝の気持ちを伝えたところ、こころよく納得してもらえた(内心複雑だったろう)。こんな「解雇」というかたちになって申し訳ない・・・
**
長い間にわたって繰り返し更新された労働契約をある時点で「更新しません」と会社側が意思表示して雇止めすることは、解雇といった法律の規制に抵触する場合があります。
では、冒頭の例のように「更新しないことの合意」ができているときはどうなるのでしょうか?
そこで今回は、反復更新された労働契約を不更新にして解雇にならない場合とはどんなときなのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「作業場では必ず作業帽を被れと注意しているのに、しばらくすると被らない者が出てきます。作業帽の不着用1回200円、みたいに罰金制度をつくってはダメですか?」
着帽を呼びかけるものの、「頭が蒸れて気持ち悪いから被りたくない」「ダサいから被りたくない」と不満をもらす社員がいて困っています・・・といった現場のお悩みをお聞きすることがあります。
会社としては何としてでも社員の安全を守らないといけないので、罰金制度をお考えになる気持ちもわかります。とはいえ、会社が設ける罰金制度については、労基法が定める「減給の制裁」、「損害賠償額の予定の禁止」の内容を押さえておくことが大切です。
そこで今回は、社員の意識づけ向上のための社内罰金制度の取扱いについて詳しく確認していきたいと思います。
部下「自宅に仕事を持ち帰ってやるのは残業にならないのに、なんでテレワークだと通常業務の扱いになるんですか?」
上司「・・・・(たしかに・・・←心の声)」
自宅への持ち帰り仕事は労働時間にカウントされないのに、テレワークがカウントされるのはどうしてなのか・・・部下から質問を受けて言葉に詰まる上司。
「自宅で仕事を行う」ということで、両者は一見同じようにみえるかもしれませんね。ですが、ポイントとなるのは労基法上の労働時間についての定義です。つまり、「会社側の指揮命令下に置かれている時間として評価できるか?」という点が問われることになります。
そこで今回は、自宅への持ち帰り仕事とテレワークは労働時間の扱いでどのように違うのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
年度末が近いので、部員には5日以上の年休を確実に取ってもらわないといけない。だが風邪、コロナ、インフルエンザでダウンする人が出て人手が足りずに、休んでほしい人に休んでもらいにくい状況だ。半休か毎日1時間ずつ時間休を取ってもらって、年休取得5日以上にもっていくか・・・?(とある商社の営業部長談)
**
会社には、年10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対して、年休日数のうち年5日の年休を取得させることが義務付けられています。
そのため上司としては5日以上に至っていない社員の年休取得と、業務の進捗具合の間で「半休と時間休が5日付与義務にカウントされるならなんとかなるかも?」と焦っています。
そこで今回は、そもそもの半休と時間休の取扱いの違いと、半休と時間休が年休の5日付与義務にカウントされるのかについて、詳しく確認していきたいと思います。
「トラブルが発生したら、「初動対応」VS「残業時間の上限規制」の間で現場はパニックになりそう、どうすればいいの?(;゚Д゚)」
時間外労働や休日労働をさせる場合は、36協定の締結と労基署への届け出が必要ですが、36協定を結んだ場合でも時間外労働の上限規制があります。
そこで労基法には例外として、災害等による臨時の必要がある場合には行政官庁の許可を受けて時間外・休日労働の上限規制を解除する規定があるのですが、働き方改革関連の法改正によって「行政官庁の許可が下りる新基準」が示されました。
そこで今回は、災害等による臨時の必要がある場合に残業が許可される新しい基準はどういうものか、詳しく確認していきたいと思います。
「社員の給与を奥さんに支払っちゃダメだと聞きました。奥さんとはいえ他人なのでダメなんですか?」
お金がなくては生活できないので、ちゃんと給与が社員に支払われないと大変なことになってしまいます。
そのため、労基法では賃金の支払いについていろいろな保護規定が定められています。そのひとつに、賃金は直接社員本人に支払わないとダメなことになっています。
とはいえ、やむをえない事情(本人が病気欠勤中、もしくは死亡したなど)があって、会社として「配偶者に支払ってあげたい」というときには、どうすればいいのでしょうか。
そこで今回は、給与の代理受領が禁止されていることを確認しつつ、本人死亡の際に配偶者に支払うことの可否について、詳しく確認していきたいと思います。
「パートのAさんには時給1,050円で週3日(週18時間)、うちの店に来てもらっていいます。無期転換すると、この労働条件をグレードアップさせないといけませんか?」
パートさんが入社してからもうすぐ6年目に突入するので、無期転換について考え始めた店長さん。Aさんは働きぶりも優秀で条件面のグレードアップに異存はないものの、まずは法律ではどうなのかを把握しておきたい様子です。
無期転換したときの労働条件について、結論からお伝えすると、基本は今までと変わりません。労働契約の期間が有期から無期になる(期間の定めのない労働契約)だけです。
とはいえ、「別段の定め」をすることで、期間の定め以外の労働条件を変更することは可能です。
そこで今回は、無期転換時の労働条件はどうなるのか、「別段の定め」があるときとないときについて詳しく確認していきたいと思います。
「うちの会社ではパート社員向けの就業規則をつくっていないのですが、まさか正社員の就業規則が適用されることはないですよね?」
・・・この「まさか」の予感は的中してしまうかもしれません。
常時10人以上の社員が働く会社には就業規則を作成して労基署長に届け出る義務があります。そんな職場でパート社員がいるのに、パート社員について適用される就業規則が作成されていないとなると、困ったことが起きてしまいます。
ひとつは、法違反の問題。もうひとつは就業規則を下回る労働条件を個別に労働契約で決めたとしても、無効となって就業規則の基準で契約したものとされる問題です。
ライフスタイルに応じた働き方で、さまざまな雇用形態の社員が同じ職場で働くことは珍しくないですし、無用なトラブルは避けたいですよね。
そこで今回は、パート社員の就業規則にまつわる問題について詳しく確認していきたいと思います。
「36協定の過半数代表者の立候補者を募集しているのに、誰も手を挙げてこなくて困っています。かといって会社から指名するのはダメだし、いっそのこと(職場の)親睦会の会長を過半数代表者にしてしまおうかな?」
36協定だけでなく、労基法その他の法律において過半数代表者との労使協定を必要とする事項は増えています。ですが、過半数代表者を選ぶにあたって立候補者がまったく出てこない・・・といったお話を伺うことがあります。
会社側が指名することは、法律で定める過半数代表者の要件を満たさないのでできませんし、「じゃあ一体どうすればいいの?」となりますよね。
そこで今回は、過半数代表者の選出手続き、また社員親睦会の会長を過半数代表者にすることの可否について詳しく確認していきたいと思います。
「正社員の〇〇さんと仕事内容はほとんど変わらないのに、給料に差があったりボーナスがないのはおかしい、とパートから不満を漏れ聞いて困っています」
・・・パートと正社員が同じ職場でごっちゃになって働いていて、同じような仕事をしていたら賃金面も同等にしないとだめなのだろうか、「同一労働同一賃金」というし・・・
このように「同一労働同一賃金」という言葉をめぐって、お悩みを抱える経営者、人事担当者の方は少なからずいらっしゃるようです。
法律で定める意味としては(ごく簡単にいうと)「パートと正社員の待遇に不合理な差をつけてはダメ」ということで、すぐさま「同じ仕事=同じ給料」といっているのではありません。
そこで今回は「いわゆる同一労働同一賃金」をめぐる問題について、詳しく確認していきたいと思います。
「パート社員が無期転換すると、それからもうずっと働き続けないといけないということですか?言い方は悪いですが、辞めるときはイコール“死んだとき”になってしまいますよね?!」
有期雇用の社員が無期転換した場合、文字通り、労働契約期間の定めがない雇用となります。つまり、雇用の終了は解雇か、社員の自己都合退職、死亡ということになるので、このようなご相談をいただいたことがあります。
解雇となると解雇の無効をめぐる問題が生じるので、もめごとに発展する法的リスクが発生します。それを避けるには、定年制を導入して雇用期間の「終わり」を決める必要があります。
そこで今回は、無期転換した社員と定年制をめぐる問題について詳しく確認していきたいと思います。
上司が部下を大きな声で怒鳴りつける、暴言を吐く、机をバーンッと強く叩いて机上の書類を部下に投げつける・・・
↑いわゆる「パワハラ」です。皆さんこれには異論ナシですよね。
上司が部下の顧客対応に注意したり叱責する、反省を促すため顛末書の提出を命じる、業務態度不良を繰り返す部下に叱責がきつくなる・・・
↑これについてはどうでしょうか?
上司には部下を指導、教育する義務がありますが、それを受ける部下にしてみれば上司の叱責などを「いじめ」と受け取る場合もあるかもしれません。ここに、パワハラ問題の難しさがあります。
どこまで指導すればいいのか迷われる上司の方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、職場でのパワーハラスメントと上司の指導教育にまつわる問題について詳しく確認していきたいと思います。
「正社員なら簡単に辞めてもらうのは法律的に難しいかもしれないけれど、パート社員ならいつでも辞めてもらえますよね?」
これは大きな誤解です。このように思われていることは多いかもしれませんが、実は逆なんです。
民法上は「期間の定めのある契約(パート)」は、会社はその期間中に原則として解雇できず、「期間の定めのない契約(正社員)」の場合はいつでも解雇できると規定されています。
とはいえ、雇用期間を定めて採用したパート社員の勤務成績がめちゃくちゃサイアクで、これ以上続けてもらうのはムリじゃないの・・・?といったケースもあるかもしれません。
そこで今回は、有期の雇用期間の途中でパート社員を解雇するにあたって、会社が気をつけなければならないことについて詳しく確認していきたいと思います。
「会社の休みの日に、別の会社でスキルアップ(⋈◍>◡<◍)。✧♡」
副業・兼業で、いまの仕事(本業)で必要な能力を伸ばしたい社員と伸ばしてほしいと思う会社。会社として押さえておくべきは、労働時間マネジメントと残業代(割増賃金)の取扱いです。
労基法では、複数の職場で勤務する(本業&副業・兼業)場合、労働時間を通算することになっています。労働時間を通算して法定労働時間を超えるとき、会社は自社で発生した法定外労働時間について、36協定を締結したうえで残業代(割増賃金)を支払う必要があります。
とはいえ、「これは時間外になるの?休日労働扱いになるの?」と、具体的にどうすればいいのか、判断に迷われることもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、副業・兼業での残業時間にまつわる問題(割増賃金、休日労働)について、詳しく確認していきたいと思います。
副業申請が出ているDさん、最近ぐったりしてる。申請されている時間よりも、実は副業の労働時間が長いのかな?体調が心配だわ~(;´Д`)
(商社勤務 人事担当者談)
**
テレワークの浸透などによって働き手には「副業・兼業をしやすい環境になってきた」との感覚があっても、会社にしては労働時間マネジメントのあり方が気にかかるところです。
本業以外の仕事によって、メンタル的にも肉体的にもへとへとになっていないか社員の健康状態が心配だからです(企業が社員の副業・兼業を禁止する理由のひとつでもあります)。
実務的には、副業・兼業による自社の36協定とのバランス、どのラインから時間外労働になるのかをまずは理解しておくことが大切です。
そこで今回は、副業・兼業で2つ以上の職場で働く場合に労働時間はどうカウントするのか、詳しく確認していきたいと思います。
職場では、社員同士が職場コミュニティをつくり、人間関係を築いています。あえてケンカしたいとは思わないまでも、やはり人間同士の集まり、人間関係上の軋轢、ハラスメント、もめごと、トラブルetc.・・・が生じます。
会社には職場環境配慮義務があり、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど職場でのいやがらせ防止等などが求められています。
「法律で決まっているから会社がやらないといけないのか」
・・・と思われるかもしれませんが、ハラスメントによる社員の意欲ダウン、優秀な人材流出、訴訟リスク・・・といったことを考えると、経営に与える影響は甚大です。
そこで今回は、会社が気をつけたい「職場のハラスメント」対策について、詳しく確認していきたいと思います。